大学でキャリア教育の講義をする中で、「ディーセント・ワーク」という言葉に出会いました。
聞きなれないこの言葉は、「働きがいのある人間らしい仕事」という意味。
ILO(国際労働機関)が実現を目指し、目標としているものです。
日本では、ディーセント・ワークを実現するために、NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)が20の課題を挙げています。
労働条件だけでなく、労働法の知識を得たり声を上げたり、といった行動を促すものもあれば、
日本型雇用(終身雇用・年功序列)、「大黒柱」、「良い母親のイメージ」といった従来の価値観を問う内容もあり。
中には、ブラック企業のモノを買ったり、サービスを受けたりしない、という消費者の取り組みも含まれています。
課題の中でどれが大切かグループワークで話し合えば、今どき大学生の価値観が見えてきます。
就職活動を支援していても実感することですが、今どきの大学生は、冷静に世の中を見つめています。
高度成長期を経験した世代やバブル世代など世の中に勢いがあった時代とは違い、がんばっても成果が出るとは限らない時期しか知らない世代。
手書きの伝票を時間をかけて処理した時代と、パソコンや様々なITシステムで効率的に単純作業がこなせる時代で、同じ価値観である訳がないのです。
「長時間労働」一つとっても受け止め方は異なり、「がんばっている」対「非効率・企業の管理不足」
その世代間のギャップは、上の世代が思う以上に大きい。
いまの大学生世代が理不尽だと感じることは、これからの社会にとって課題として向き合っていく必要のある大切なものばかり。
そんな課題に地道に取り組むことで、あらゆる世代が「働きがい」を感じながら「人間らしく」働ける世の中に近づいていくはずです。