学芸員は「がん」か?

地方創生担当相の発言が話題になっています。

学芸員は地方創生を邪魔しているとの趣旨の発言。

私は大学で学芸員の資格を取っており、現場の学芸員の方ともご一緒したこともあるので、この発言に納得できないし、影響力の大きい方の発言として信じられない思いです。

もちろん、学芸員の資格取得のためには、大学で保存視点の講義も受け、研究職という側面もあります。

でも、保存・研究の大切さを踏まえつつも、その良さも広める大切な仕事だと思っています。

私も、大学の夏休み期間に、実家近くの考古学博物館へ2週間の博物館実習へ行きました。

その時担当してくださった学芸員の方は、保存の意識も持ちつつ、その良さを広めることにも力を入れていました。

夏休みということで、小学生を対象としたイベントを企画・運営され、小学生と土をこねて縄文土器を作り、真夏の灼熱の中、たき火をして土器を焼き上げました。

発掘中の現場へ小学生を連れていき、土器の発掘体験もしました。

単なるイベントではなく、体験する中で、土器の種類や作り方の説明、発掘する上での注意や大変さといった知識と重要性を、小学生に身を持って体験してもらう機会を作っていました。

その熱意と専門性に、制限のある中での実務で、できる限りのことを模索し挑戦されている姿が尊敬できる方でした。

展示物の良さを知っているからこそ、専門的な立場でその良さを伝えようとする学芸員の方々も多いのです。

他にも、地元で遺跡が発掘されれば、学芸員の方が解説に立ち、近隣の方だけでなく、それを目的に大勢の方が訪れます。

博物館に含まれる水族館や動物園の最近の展示や解説の面白さは、よく話題にもなっています。

公的な所属の方が多く、保存の意識が強い方も中にはいらっしゃるとは思いますが、「学芸員」全てを総称して発言されたことの影響を考えると、残念でなりません。