志望動機、そして私が働くうえで大切なこと

来談する大学生にとって作成が難しいと言えば、「志望動機」

実際に働いた経験がないので、仕事理解も企業理解も得た情報をもとに想像していくことになります。

そしてその想像を想像で終わらせないために、更に、企業情報を確認したり、他社と比較したり、社員の方の話を聞いたりして、裏付ける企業研究を深めていくのです。

この繰り返しをどれだけ熱意をもって時間をかけたかが、志望動機の厚みに繋がります。

と、そんな説明を学生さんにしつつ、私が新卒で入社した企業への志望動機を思い出していました。

「学校という一斉指導の場以外の、個別に学べる場で教育に携わりたい」

その動機を持つに至ったのは、大学でのアルバイト経験でした。

私は当時、FAXと電話を使って、中学生に30分間の学習指導をするアルバイトをしていました。

教材販売のアフターケアのサービスでした。

その中で、ある日、中学2年生の女の子から、「勉強できないから塾でがんばろうと思ったら、塾も試験があって入れなかった」という言葉を聞きました。

塾へ行ったことのなかった私は、勉強したいと言う意欲があるのに、一定の学力がないとその意欲を受け入れてもらえない、という事実にショックを受けました。

そこで私は、学校以外で一人一人に向けた教育に関わる企業を探し、音楽教室や通信教育、個人指導塾の企業に応募していきました。

結局、その時の思いは今も続いていて、教育関係の仕事を志向する気持ちは相変わらず強いですし、屋号「Each One」も、一人一人と向き合う気持ちを仕事でも大切にしようという思いから名付けていました。

自分にとっての仕事への思い(最近よく使う「就活の軸」のような部分)は、私の場合は結局揺らがなかったなぁ…と感じています。


エントリーシートって何?

エントリーシートは、企業によって設問を設定できるため、人気企業では一気に受ける学生の人数を絞れる選考ツールです。

今まさにエントリーシートの提出が急増して、キャリアセンターへ学生さんが駆け込んでくる時期になりました。

予め用紙を出力して手書きしたものを郵送するパターン、サイトに入力して提出するパターン、説明会に参加した人に用紙を配布して後日郵送で提出するパターン、などなど企業によって様々です。

最近では、「Open ES」を利用する企業も多くなりました。

「Open ES」はリクルートが行っていて、履歴書部分・学生時代頑張ったこと・自己PRといった文章を作成して入力しておき、指定された企業にWeb上で提出する省力ツールです。

いずれにしても、エントリーシートを時間をかけて提出していくのですが、通過率は企業・業界によって様々です。

100%通過することは難しいのです。

これが正解のあるテストと違う所。

それに、もしかすると提出とは違う部分で選考が同時に行われて、あたかもエントリーシートの結果のように連絡が来るかもしれません。

がんばって時間をかけて提出したからこそ、通過しないショックは大きいです。

でも、エントリーシートが通過しないのは、学生さんの頑張りが否定されたのではなく、その企業の方針に合わなかった場合もあるのです。

がんばって数多く提出した学生さんほど、通過したとかしないとか結果が出る機会も増えますので、心折れずに進んでいくこと、その切り替えが大切です。

ただし、通過率が50%を切るようなら何か原因があるので、キャリアセンターなどで添削やアドバイスをもらって次へ繋げる見直しをしつつ、足を止めずに進んでいくことが大切です。


より加速する選考ステップ

大学生の面談をしていると、就職活動する学生さんの話から、企業の選考状況が伝わってきます。

今年は昨年よりさらに選考ステップが加速している様子。

企業は、学生を一度集めたら選考を一気に進めてしまいたい訳で。

「午前中説明会受けて、午後筆記テストと1次面接って言われても、説明も聞いてないのに志望動機準備できないです~!」

まさに正論です。

でも現実的には、説明会へ臨む前に企業をある程度研究して志望動機を作成し、午前中の説明会を聞きながら確認・修正をしたうえで午後の選考へ臨む…という準備が必要になります。

説明を聞いて「いいなぁ~」と思った企業を帰ってから調べて、やっぱり受けてみようと思った企業の選考へ申し込む。

こんな当たり前なステップが踏めなくなっているのが現実です。

だからこそ、3月解禁前までの準備が差に繋がる…と言われたのです。

企業の求める選考ステップに流されて運よく内定までたどり着いたとしても、秋頃に、企業へ行ったり内定者と顔を合わせたりするうちに、「この会社(仕事)でよかったのかな~?」となりかねません。

入社後にそう考える人も多くなると思います。

解禁前に自己分析や企業・仕事理解に時間を費やした学生さんたちは、それを活かしてもらいたいです。

でも、取り組んでいなかった学生さん達には、慌ただしい活動の中でも、自分を振り返る意識を少しでも持って活動を進めてもらいたいと思います。

「この会社のこの点をいいと思ったのはどうしてか?」

「この仕事はよくて、あの仕事は嫌なのはどうしてか?」

自分の中にある価値観に合う会社に、少しでも多くの学生さんが結びつくことを願っています。


就職活動は、社会デビューの準備期間

3月1日から、大学3年生の就職活動が解禁になりました。

正確には「採用情報の解禁」です。

具体的には、リクナビやマイナビといった情報サイトに登録して、志望する企業にエントリー(選考参加登録)します。

他にも、今年度の採用人数等の情報が解禁になって、今まで「業界研究会」とごまかしていた企業説明会が、堂々と開かれるようになりました。

私も2日から、大学での就職活動の相談の仕事が始まり、履歴書やエントリーシートの添削、模擬面接や就職活動の相談まで、様々な内容で大学3年生を支援しています。

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少し暖かくなったと思ったら、急に寒い冬へ逆戻りして雪が舞う中、1週間活動し続けた学生さんたちは、既に「疲れた」と口にしています。

社会との接触が突然急激に始まったので、既に気持ちが気おくれしている学生さんもいます。

息切れしないで活動を続けられるような支援が必要ですね。


第4回キャリアコンサルタント養成講座修了しました。

昨年12月からスタッフとしてかかわってきた養成講座が修了日を迎えました。

仲良く向上心にあふれる受講生の方々ではありましたが、時には内容の濃い学びの中で迷い、足が止まることもありました。

それでも、励ましあって乗り切り、無事修了日を迎えることができました。

仕事の合間を縫って課題の準備をしては10日間通学する、という積み重ねは、きっと力となり結果へと繋がっていくと信じています。

今日は修了日ということもあり、打ち上げで楽しく盛り上がりました。

それに、みんなで撮った集合写真にコメントをつけた素敵なファイルもいただきました。大切に大切にして、私の力にしていきたいです。

今日修了したみなさんは、本当に様々な分野で活躍されている方々ですので、さらにキャリアコンサルタントとして、得意な分野で力を発揮していただけることを祈っております。

そのためにも、今後国家試験へ向けての自主勉強会へもできるだけ参加して、応援したいと思います。

FullSizeRender 4     素敵なチョコいただきました(^^)


文章を育て続けること

大学3年生が履歴書を書き始めた頃、思いつくままにとにかく書き綴ると、一文がとても長く一回読んだだけでは伝わらない文章が出来上がります。

初めて読んだ人が理解しやすい文にするなら一行に一文程度。

「自分が書きたいように」ではなく「相手が分かりやすいように」と、相手の目線を意識して修正していきます。

誤字脱字や「てにをは」の間違いについても、他の人に読んでもらうことで修正の機会が得られます。

こうやって書いては修正し、また書いてはまとめ直す。

提出しては見直し、面接で話しては手直ししていく。

就職活動で提出する文章は、この繰り返しです。

でも、学生さんたちは早く「完成」させたい(この書き直しループから抜け出したい)訳で…。

もちろん一定レベルのものはどんどん提出してほしいのですが、それでも、常に見直し、「もっと良くなるかも」と努力を続ける心構えは大切です。

これはつまり、受験の問題とは大きく異なり、「正解のない問題」に向き合って努力し続けることなのです。

これこそが就職活動の大変さであり、大変だからこそ成長もするのです。

そして努力したことは結果に、そして自分の自信や納得にも繋がっていきます。


自分のサークルをPRしても、自分は分かってもらえない

エントリーシートや履歴書の添削をしていると、サークルやゼミ活動など団体のリーダー格の学生さんによく見られるのが、その団体のPR文になっているパターン。

もちろん素晴らしい活動を収めた団体のリーダーなら優秀であることは明らかです。

だからこそ、その活動で身につけた力をしっかり伝えてほしいのですが、そんな学生さんが就職活動で文章を作るときは注意が必要です。

というのも、つい油断すると、団体のPR文に…。

素晴らしい活動であればあるほど、活動の話に終始してしまい、「私」のことまで話がたどり着きません。

そうなると、その団体の活動の素晴らしさは分かるものの、どこまで読んでもその学生さんが「どんな人」なのかが伝わらないのです。

あくまで就職活動は「私」が「何をどう努力しどのような力があるか」を基に選考が進みます。

「で、あなたはそこで何をしたの?」

に始まる質問を、次々と繰り返して始めて「その人らしさ」が伝わるようでは、先へ続く機会を逃してしまいます。

「就職活動では「私」のことを聞かれている」という意識をしっかり持ち続け、「私」が主語になるように考えを巡らせて伝えることが大切です。

その上で、出来事だけでなく、目に見えない心の中の考えや思いも文章へ入れ込んでまとめていくと、経験したからこそ得た力を先へ繋げていくことができるのです。


具体的に書くって、意外と難しい?

大学生の履歴書やエントリーシートの文章の添削をしていてよくあるのが「具体性がない」文。

読み終わっても、抽象的で読み手に何となくしか伝わらないので注意が必要です。

自分の頭の中にあるイメージから文章を作ってしまうとこうなります。

具体的な文章にするコツは、伝えたい点がよく表れた「ある1日」や「ある出来事」を取り上げて考えることです。

そのとき自分は何をして、何を大切にどう工夫したのか。

大変だったのはどんなところで、そのときどんな思いでの取り組んだのか。

といった風に、具体的な出来事を通じて自分の努力の仕方や大切にしている思い(価値観)を言葉にして、初めて読んだ人に伝わるように書くことが大切なのです。

例えば、ラーメン屋でのアルバイトでがんばった話を書くのなら、

「私の強みであるコミュニケーション力を生かして他のアルバイトと連携し、努力し続けた結果、売上に貢献することができました。」

では、「私」としてどうがんばったかや、なぜがんばったのか、といったその人のよさや大切なことが伝わりません。

「繁忙期を乗り切るにはアルバイト同士の連携が大切と考え、お客様の来店やテーブルの片づけは周囲へ声を掛け、店の回転率を向上させました。」

こうすると、慌ただしい店内でも何とか結果へ繋げようと、自分から声をかけて周囲を動かしている姿が頭の中に浮かびます。

つまり、自分の頭の中にあるイメージは具体的に伝えないと相手とは共有できないし伝わらないのです。

そこで、心の中の思いも含め、具体的に文章にしていきます。

その場の光景が相手の頭に浮かぶようになってこそ、どんな人かも伝わるのです。


「バイトリーダー」って書けば楽勝!?

一時期、新卒採用をする企業の間で、「エントリーシートを読むと世の中バイトリーダーだらけ」と言われていました。

これは学生さん達が、「役割」や「ポジション」があると企業に選ばれる、と考えていたことから生まれた現象でした。

もちろん任された役職があれば、成果として伝えていくことは大切です。

でもその話を書くときには、内容こそ、よく考えていく必要があります。

「バイトリーダー」といってもバイトをしている業種や店舗の状況によって目指すことは違いますし、その人によって問題への取り組み方も違います。

人数の多いアルバイトを意見調整しながらまとめ上げた「リーダー」もいれば、信頼を積み重ねて常連客の対応を任されるまでになった「リーダー」もいるのです。

その点を意識したうえで、その話で自分の「何」を伝えたいかを考えながら書いていくのです。

つまり、「リーダー」のポジションが評価されるのではなく、リーダーを任されての頑張りや、そこで身につけた力が評価されるのです。

そう考えていくと、「リーダー」にこだわらずとも、エピソードを通じて自分の良さを伝えることはできます。

「じっくりと粘り強く」がんばるタイプなのか、「瞬発力を活かして一気に」がんばるタイプなのか、「周りを巻き込んで一緒に」がんばるタイプなのか…。

人それぞれ違うことを前提に、自分はどのようなタイプなのかを考えながら、仕事にも生かせそうな「自分らしい良さ」が伝わるように、具体的なエピソードを基にまとめていきます

実際に履歴書に書く文章量は少ないのですが、初めて読む人の頭に「その人らしい」光景が浮かび、企業の方に「ぜひうちでがんばってほしい」と思ってもらえる文章を目指して試行錯誤する努力が、先へと繋がっていくのです。


「大切な価値観」だってその時によって変わるもの。

キャリアコンサルタント養成講座は6日目。

講座の中で、私の好きな「バリューカード」を使ったワークをしました。

これは、価値観の書いてある15枚のカードを「大切で譲れない」と思う順番に並べていくのです。

講座の中では、キャリアコンサルタントとクライアントの役割に分かれ、話のやり取り(なぜこのカードはこのカードより上なのか等)をしながら並べていくワークになります。

以前担当した講座でも並べてみたので、今回の結果と比較してみます。

7月はこちら

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そして今回がこちら

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ほとんど変わらないのですが、「リスク/冒険性」と「報酬と豊かな生活」のカードが、ぐっと順位を上げています。価値観の重要度が上がってきてますね。

これには心当たりがあります。

「リスク/冒険心」は、年も明けて仕事の方向性を考えたとき、挑戦する気持ちは大切にしようと考えたから。

そして「報酬と豊かな生活」は、このところ2学年違いの息子達の進学・教育費のことを考える日々が続いたから。

同じ人でも半年の間に価値観が変わることを、自分の身をもって体感しました。

実際の面談でもクライアントに対し、変化の理由やその人が変化をどう受け止めているのかを丁寧に聞いていくことが、納得のいくキャリアの選択へ繋がっていきます。