相談するための「安心安全な場」はどこ?

コロナが流行りだしてからもう1年半くらい経ちました。

キャリアコンサルティングを対面でしようと思うと、今のご時世、マスクをして、アクリル板かビニールシート越しで、できればちょっと距離をとって…。

そうなると、マスクで顔の表情はよく見えないし、声も大きく張りがちでちょっと不自然。

それに、感染について細心の注意を払ってはいても、そもそも心配で会うことをためらう方もいます。

相談者の方が、自分のことをあれやこれや話す場として「安心安全」はとても大切なのですが、今や直接会うことが、かえって不安な状況。

 

一方、オンラインでの面談はどうか。

コロナが流行りだした当初、カウンセラー界隈では、人の温かさや息遣い、身体全体の姿勢やしぐさなどの非言語が感じにくいので、オンラインでの支援は難しいという声が大きかった。

私も最初はそういった点が心配でしたが、

よく考えると、結局それは、カウンセラー側の視点

オンラインの方が安心して話せる、という方も多いということに、徐々に気づきました。

わざわざ初対面のカウンセラーに会いに出かける心理的な負担。

ハローワークで給付金申請に必要、という理由があるキャリアコンサルティングでも、

「昨日の夜はよく寝れませんでした」という方もいらっしゃいました。

 

移動や接触での感染だけでなく、わざわざ出かけて会うことにだってハードルがある。

一方、安心できる自分の家から気軽にカウンセリングを受けることができるという、オンラインならではの心理的な安全もある。

相談する方視点での「安心安全」な選択肢が、対面もオンラインもと、

コロナによってではありますが、幅が広がったと感じます。

 

またこれから、ワクチンを接種する方が増えて集団免疫ができ、

以前のように「顔の表情もよく見える上に非言語もよく感じ取れる」対面で面談できる日が来るのも楽しみですが、

相談者の安心安全のための選択肢として、オンラインという選択が増えたことは、私にとってうれしい変化でした。

 


同じ出来事をどう受け止めるか?

先週末は、キャリアコンサルタント養成講座の修了試験。

講座としての修了試験なので、合否が…というよりは、今までのことを振り返ってとにかく体現してみることを大切にする時間です。

もう既に資格を取得された方に相談者役としてお手伝いしてもらいながら、実際の相談を想定したロールプレイを一人ずつ、15分やっては私がフィードバックして、を繰り返します。

2日に分けて、それぞれ違う方が相談者役をしてくれる中、受講生の方は、緊張しつつも今までの練習を踏まえ、一生懸命相談者の悩みを聴いていきます。

 

修了試験の日は、私もどうなるかといつも心配するのですが、

熱心な方が多いクラスだったので、思った以上に皆さん落ち着いてお話を聴くことができていました。

 

その1日目と2日目の終わりに、それぞれの相談者役の方から感想をもらったのですが、その内容が、

 

1日目の方は「自分の時はこんなに落ち着いてできなかった。すごい!がんばって下さい!」と、

過去の自分の気持ちになって、励ます言葉。

 

そして2日目の方は「実は私、試験でA評価でした。皆さんもぜひがんばって下さい」と、

自分ががんばった結果をもとに、先輩としてのエールの言葉。

 

同じ「がんばって」でも、違う角度からの感想だったのです。

 

目の前の相手をどう捉えるか。

その人の気持ちになって考えるか、先輩として励ますか、

人によって全然違うんだ、と言うことを改めて実感。

 

いろんな人の話を聴くためには、いつもの「気が合う」仲間だけでなく、

価値観や見方の違う人と接し、考え方や感じ方を伝え合って、

人の多様性を日々実感しながら、幅を広げ続けたいなと思う出来事でした。

 


「誰が言うか」の大切さと、その時の温かい気持ち

前回のブログで「食わず嫌いのカキを食べた話」を思い出した時、

一緒に思い出したのは、「食べてみろよ」といった先輩のMさんのこと。

懐かしい…

何度も「食べてみたら」「おいしいよ」と言われても、食べなかったのに、

その時私がカキを口にしたのは、Mさんが言ったから。

 

Mさんは同じ部署の先輩で、出身地(山梨)や大学が同じだったこともあり、私のことを子分のようにかわいがってくれました。

今でも印象に残っているのは、まだ大した仕事もできない私に、450人ほどの講師データベースを作る作業を教えてくれたこと。

まだ事務所内に、オフコン(オフィスコンピューター)が1台しかなく、人数分ノートパソコンが導入されることになったのに、何に使っていいのか分からない…といった時代でした。

そんな中、新しくきたパソコンで新しい作業を教えてくれ、できるようになるまでサポートもしながら任せてくれた。

事務所の誰にもできない作業を、私ができると信じて、任せてくれた。

その思いの積み重ねをMさんから感じていたからこそ、私もMさんの言葉を信じたのだと、今でも思います。

結局、他の人が言っても、20数年食べていなかった食わず嫌いを、私は食べることはなかった。

何を言うかももちろん大切だけれど、誰が言うかはもっと大切。

そこに、相手を信じてかかわる関係があってこそ。

そんなことも、あらためて、温かい思い出と共に思い出すことができました。

 

Mさんは、私が会社を辞めて結婚し、長男が生まれた半年後に、病気で亡くなって

( ;∀;)

久しぶりに思い出したから、きっと「おっ、久しぶりだな!」って言ってます(笑)

 


「関係とは築き上げること」と実感する、修了の日のさみしさ

いまキャリアコンサルタント養成講座の講師を担当しています。

去年からカリキュラムがより手厚くなって、

一日の時間数にもよりますが、学科と実技を通学で学ぶクラスだと、かれこれ半年もの間、毎週共に学ぶことになります。

今回は、途中から引き受け、1ヶ月半ご一緒したクラスが修了式を迎えました。

 

最初は、引き継ぐ前の先生のカラーもあるので、私の方も探り探り(^^;)

今まで大切にしていたことはそのまま大切にできるように、そして私が大切にしている点も少しずつお伝えしながら、徐々に私と皆さんとの関係を築いていきます。

まずは相手を知るところから。

知るためには、興味を持って、相手に合わせながら、いろいろ教えてもらいます。

もちろん、私に興味を持ってもらえたら、素直にお伝えてして…。

この繰り返し。

だんだん深まってきたな~と思っていると、もう修了日!

もっと一緒に、という思いが強くなった頃なので、今度はさみしさが募ります。

 

修了式も終わり、はぁ…と思っていた数日後、写真が送られてきました!

 

 

 

← 修了式後のクラス写真

 

 

← 受講生さんと

 

こちらは昨年のクラス →

 

写真、励みになります (^^)

 

そしてこの思いをかみしめ、また歩いていこうと思います。

 

みんな、がんばって~! 合格するの待ってるね。

そして合格したら、同志としてよろしく!


自分でも気づいていなかった「受け止め方」

性別も年齢も職業も肩書も、性格や価値観も、本当に様々な方と接する機会が多い仕事なので、私は自分では受け止め方に偏りがないと思っていました。

でも実際に、小さな部品工場の社長さんが同世代の女性だったとき、「へぇ~、珍しいな」と感じました。

私の中で、女性社長は「当たり前」ではなかったのです。

障がい者就労継続支援施設で大声を上げた通所者の方を前にどう対応していいか分からなかったとき、障がい者も自分と変わらないと思っていたのに、偏見の種みたいなものが自分の中にもあることに気づきました。

もちろん、そんな種は無いに越したことはないのですが、そこは現実の話。

価値観だって、「そうは思わないんだけど」と話を聞いて思うこともあれば、「この方の考え方は私に似ている」と思うこともあります。

それぞれ大切なのは、「私はそう感じた」「私はそう思う」という自分のフィルターがかかっていることを意識することです。

どんなにフラットな気持ちで受け止めたと思っていても、受け止め方には自分のフィルターがかかるのです。

このところ、自分でも気づいていなかった「受け止め方」を体感し、いろいろな人と接して様々な行動を経験することは大切だと、改めて気づきました。

同じ顔ぶれ同じ行動範囲では、自分の反応が当たり前になって気づかなくなります。

まだまだ私にも「自分らしい」受け止め方があることに気づき、その点を分かったうえで、できる限りフラットな気持ちで関わることの大切さを再認識した出来事でした。


トラブルの当事者の中で、誰が「正しい」のか?

大相撲の世界が騒々しいです。

日馬富士の暴力沙汰を中心に、貴乃花親方のことやモンゴル力士のことなど、様々な問題が混ざって報道され、盛り上がっています。

元々の暴力問題については警察が調べているので、そのうち明らかに。

でもこの様子を見ていて、人の話は食い違うものだ、と再認識しました。

企業でのキャリアコンサルティングでお話を伺っていると、トラブルになっている当事者双方の話を別々に聞くこともあります。

その時も、当事者同士の話はかなり違った内容でした。

そして、ものの見方や受け止め方は、立場や人が変わるとこんなにも違うんだと実感。

そもそも、会社で一緒に働く目上の方や年下の方に対してどのようなイメージを持っているか。

「こうあるべき」「こうしてほしい」は、人によって違います。

其々の方の、今までの先輩後輩としての経験や、親子関係が影響しているかもしれません。

それを前提として、目の前の方が違う態度だった場合、お互いの関係の上ではかなりのマイナススタートになってしまいます。

後は、徐々にそのマイナスが積み重なっていき、相手の嫌な点ばかりが目に付くようになって悪循環に…。

人間関係では、「何が正しいのか」を問い詰めるのが本題ではありません。

それこそ警察に任せておけばいいことです。

「何が正しいか」にこだわるとこじれるのは、人によって「正しい」ことが違うからなのです。

問題を解決するには、「何が正しいか」の結論を出そうとするのではなく、「どうしたらうまくいくか」を互いに考えていく姿勢が大切です。

キャリアコンサルティングが、「私の考えていたことは、こういう風にも考えられるんだ」と、気づき考え行動してもらえる機会となれば、働きやすさにも繋がります。


人と人とのつながりは「面」のようで「線」のような

以前、キャリアコンサルタント養成講座で出会った方から、「フリーのキャリアコンサルタントを探している方」を紹介していただきました。

「その話を聞いたとき、髙峰さんの名前が浮かびました!」

ありがたいことです…。

2回に渡って携わってきた養成講座を通じてご縁ができた方々の中には、仕事をご一緒することになった方や仕事の後押しをさせていただいた方もいます。

人との出会いや繋がりってすごいな~と、素直に思います。

私は自分で仕事を受けるようになって、人と人との繋がりは「線」のようなものだと感じるようになりました。

企業で働いている間も、もちろん個々の方との繋がりはあったのですが、何となく「面」のように感じていました。

「その場」の雰囲気も含めた関係のイメージが強かったのです。

職場といった「面」が無くなった今の環境では、「線」が私とそれぞれの人とを繋いでいます。

更にその「線」を通じ、また違う方と「線」が繋がる…といった広がり方も実感しています。

これからも、それぞれの繋がりを大切に、また新たな「線」が張り巡らされ、広がっていくように、一歩一歩大切に仕事を続けていきたいと、改めて思いました。


話し相手を「観察」する

「相手の顔色をうかがう」というのは、いいイメージでは使われない表現です。

ただ、相手の様子に合わせて消極的な行動をとるのではなく、相手の表情に意識を向けることは大切です。

面談の中では、もちろん相手(クライエント)の様子を無視することはできません。

カウンセリング技法にも、「クライエント観察技法」があるくらいですから。

これは、簡単に言えば「クライエントのことをよく観察すること」なのですが、普段の会話の中でも、できているようでできていない部分になります。

自分の中に考えがあったり、伝えたいことに気を取られていると、ついつい相手の様子に気づかないこともあります。

私も、以前CDA資格試験へ向けてロールプレイで練習をしていた時に、有資格者の方に指摘を受けました。

退職を余儀なくされた中年男性のクライエント役と向き合っていたとき、いつまでもその退職に至る詳細を聞き出していた私に、そのロールプレイが終わった後、有資格者の方が言いました。

「本当に話したくない嫌な表情をし続けているのに、気づかなかったの?」

そう言われてハッとしました。

話を聞きだすことに一生懸命だった私は、「気づかなかった」のです。

「相手のため」という名のもとに、相手の気持ちを無視して「相手が受け入れられない」話をし続けていては何にもなりません。

その経験を経て、クライエントと向き合うときは相手の様子をしっかり「観察」し、言葉と表情が矛盾していないか、話しているうちに変化していないか、など意識するようになりました。

よりよい助言をしようと思うあまりに、相手の反応を無視して「いい意見」を話し続けるのではなく、相手の気持ちに沿った関わりをするために、「観察」の視点は大切です。


相手の気持ちを「体感」する

キャリアコンサルタントを目指して取り組む方々と接する中で、ロールプレイは欠かせません。

国家資格のキャリアコンサルタント試験は、「学科」や「論述」試験だけでなく、15分間の面談(キャリアコンサルティング)を実際に行い、その内容を振り返る口頭試問も含めた「実技」試験があるのです。

試験対策としてフィードバックさせていただくことも多いのですが、ロールプレイのクライエント(相談者)役をさせていただくこともあります。

自分の実体験を話すこともありますし、設定した役として相談に至る背景も含めて準備し、臨むこともあります。

しっかり準備したら、ロールプレイではその役になり切ってキャリアコンサルタント役の方に向き合い「相談」していきます。

この体験は、実はキャリアコンサルタントとして面談するうえで、とても勉強になるのです。

クライエントはどのように接してもらうと話しやすいのか、どのように問われると無理なく自然に内省していけるのか、答えにくい質問は何か、聴いてもらえている実感はどういうときに感じるのか、などなど…。

キャリアコンサルタントとしてクライエントに向き合うとき、その感覚を知っているかどうかで、接し方は変わってきます。

それも、知識やスキルとして「知っている」ことと「体感した」こととでは、大きな違いがあります。

実社会でも、いろいろな経験をした人は、相手の気持ちが理解できると言います。

「体感」して理解したことを、実際のロールプレイや面談で活かすことで、関わり方に深みが増していきます。


近づくために、まずは相手の世界を受け止めてみる

梅雨に入ったというのに、毎日お天気続きで雨が降らないなと思っていたら、今日は土砂降り。

台風並みの雨と風で、大変なお天気になりました。

こんな天気の中、今日は豊田市へセルフ・キャリアドック制度を活用したキャリアコンサルティングに行ってきました。

お伺いした事業所の近くだったこともあり、私は初めてトヨタの本社を見ました。

愛知県はさすがトヨタのお膝元、大学生と面談をしていると、

「だって、愛知はトヨタもあるしモノづくりが盛んだから、私もモノづくりに興味あります!」と

目をキラキラさせて話す学生が結構いるのです。

でも、残念ながら私は出身も県外で、今までにトヨタ車を運転したこともほとんどなく、共感する気持ちは地元の方たちに到底及びません。

でもそんな時、話を聞く立場としては、いったんそのキラキラの思いをそのまま受け止めて言葉を返します。

「トヨタもあるからモノづくりに興味を持ったんだね。」

このステップを入れることで、ぐっと相手との距離は近づきます。

そうやって足並みをそろえたところで、今度はそのキラキラの中身を聞いてみます。

「モノづくりのどんなところに興味があるの?」

いきなり「その気持ち分からないなぁ~」とそのまま自分の気持ちを言ったり、「ふ~ん」と気のない返事をすると、すっかり話の腰を折ってしまい、その先の大切な話をしてもらえなくなります。

相手と同じ気持ちになれないからといって、相手の話が聞けない訳ではないのです。

まず、相手の気持ちや相手の思い描く世界を受け止めて言葉で返し、その上で更に詳しく聴いたり、時には自分の本音を言ったりすることで、お互いの理解も深まるのです。