人生何度でもやり直しができる世の中へ

先日、通信制大学の入学説明会に携わってきました。

来場者と面談しつつ、本当に様々な方が、更に学ぼうと行動に移されていることに感心するばかり。

キャリアアップのために資格を目指される方、現場の対応に活かせる学びを得つつ資格をと考えている方、などなど。

他にも、大学の通信教育ということで、大学卒業つまり学士取得を目指される方もいました。

今まで何らかの理由で、大学進学や大学卒業に至らなかった方々です。

人生、階段を上るように一段一段順調に上がっていければそれに越したことはないのですが、そうとも限りません。

自分の意思で、あるいは不本意ながら、途中で違う方向へ行ったり歩みを止めたりと、いろいろある訳です。

でも、また機会があれば、思いを「いつでも」「どこでも」行動に移せる…そんな選択肢は多いほうがいいですね。

人生に、「この道が正解!」なんてないですし。

私も過去に、大学ではないけれど通信講座で学んだ経験が何度かあるのですが、時代は進み、インターネットや映像を使って授業や試験をする便利な内容には、感心するばかり。

去年の2倍近い方が来場されたと聞き、その熱気あふれる会場で、新たな学びへと歩き出そうとする多くの方々のお話を伺いつつ、心からエールを送りました。


大学3年生の冬休みは、インターンシップが大盛況

今年は例年以上にインターンシップを実施する企業が多く、冬休みへ向けて10月ごろから増え続けています。

実質「企業説明会」として1日だけのインターンシップを実施する企業も多く、学生さんとしても参加しやすいので2~3社に参加といった様子。

建て前は「インターンシップは採用活動とは別で」となっていますが、現実には参加した学生さんを基に名簿を作成して別ルートの選考や説明会へ誘う企業も多いのです。

マイナビ調査によると、実際に学生側が、インターンシップで興味がある内容は「仕事体験」

でも実際に仕事を体験させるには、人事だけでなく現場の協力が必要になります。

現場の負担になるとなかなか実施する企業は少なく、結局妥協案として「社会人らしい」「その企業が実施する」という意味で、企業の説明+「グループワーク(企画立案・課題解決など)」といった内容が多くなっています。

学生が実際に職業や企業理解につながるプログラムを体験したければ、内容をよく確認する必要があります。

実は、就職活動を始める時期に学生さんと話をしていると、「営業職」は人気がありません。

「だって飛び込みとか無理です~。」

いやいや、日本中の営業マンが飛び込み営業をしているわけではありません。

でも、学生が営業マンの仕事を見る機会はほぼ無いために、イメージはそうなっているのです。

顧客と関係を築いて適宜提案する営業、もあることをイメージできません。

こういう部分にこそ、仕事体験は生かせるのです。

3月に就職活動が本格化すると、あっという間に受ける企業を選ばなければなりません。

その前に、職種や業界・企業の方向性を絞るために、この冬休みはインターンシップの機会も積極的に利用するように、学生さん達に声を掛け、できる準備を促しています。


今どき大学生の職業観

リクルートキャリアの「就職みらい研究所」が大学生を対象にした「働きたい組織の特徴」という調査結果があります。

その中のワークスタイルの項目を見てみます。

A、仕事と私生活のバランスを自分でコントロールできる

B、仕事と私生活は区別なく、一体として働ける

このどちらを選ぶかというと、2018年卒(現大学4年生)は、Aが47.7%。

さらに、どちらかといえばA(38.7%)と合わせると、86.4%にもなります。

「残業多いと、自分の時間とれないじゃないですか~。」

と言う訳です。

他にも、事業成長は、チャレンジングより安定志向の人が8割以上、給与額より生活サポートの充実を選んだ人が7割以上と続きます。

実際に学生と話していても、「ワークライフバランス」を取りながら働く考えは、当たり前になっています。

リスクは回避したい…ですし。

その考えは言葉の端々に現れます。

今どき、「若者は改革意識があってチャレンジング」なんていう勝手なイメージは、思い込みです。

職業観だけでなく、先月の選挙で投票した10~20代の4割以上が自民党(保守)を選んだ、なんていうことも、当たり前な時代なのです。

様々な事情で、つい働く環境を整えることが後手後手になっている企業も多いですが、人口も若者も減っていく中で、この若者の志向は無視できません。

募集しても人が集まらない上に、入った人も辞めてしまう繰り返し…といった悪循環になってしまいます。


人と人とのつながりは「面」のようで「線」のような

以前、キャリアコンサルタント養成講座で出会った方から、「フリーのキャリアコンサルタントを探している方」を紹介していただきました。

「その話を聞いたとき、髙峰さんの名前が浮かびました!」

ありがたいことです…。

2回に渡って携わってきた養成講座を通じてご縁ができた方々の中には、仕事をご一緒することになった方や仕事の後押しをさせていただいた方もいます。

人との出会いや繋がりってすごいな~と、素直に思います。

私は自分で仕事を受けるようになって、人と人との繋がりは「線」のようなものだと感じるようになりました。

企業で働いている間も、もちろん個々の方との繋がりはあったのですが、何となく「面」のように感じていました。

「その場」の雰囲気も含めた関係のイメージが強かったのです。

職場といった「面」が無くなった今の環境では、「線」が私とそれぞれの人とを繋いでいます。

更にその「線」を通じ、また違う方と「線」が繋がる…といった広がり方も実感しています。

これからも、それぞれの繋がりを大切に、また新たな「線」が張り巡らされ、広がっていくように、一歩一歩大切に仕事を続けていきたいと、改めて思いました。


大学生の就活で、企業側の窓口は人事担当者だけど…

大学生と話していると、「職場の雰囲気が合うかどうか」を判断材料にしている人が結構います。

でもその点を判断するのに、人事担当者だけを基準に判断すると偏ってしまいます。

今や採用を担う人事は「広報部隊」

売り手市場でもあり、数ある企業の中から、いかに自社をいいと思って応募してもらうか、人事担当者は学生さんとの接点で努力しています。

企業説明会で、生き生きとした表情で学生に親しみを込めて話す担当者。

戦略として、男子学生を集めようと「見た目重視」できれいな女性を人事担当者として置く企業もあります。

さらに、接点を持った学生といかにいい関係を築いて維持していくかにも心を配っています。

そういった努力もあってか、人事担当者に対する学生の好感度は高く、実際に学生の口から「人事の方がすごくいい人で~」という言葉もよく聞かれます。

ただ、悪気がなくとも、人事とその他社員とのカラーが異なることは少なくありません。

中には採用担当者を専門業者に委託している企業もあります。

「職場の雰囲気」を知りたいのなら、人事担当者以外の社員との接点を持つことも大切です。

インターンシップで実際に働く方と懇談会を設けている企業もありますし、社員の方と話ができる機会があるか聞くと調整してくれる企業もあります。

その企業の方は、どんなことを努力し、どんなことにやりがいを感じ、今後へ向けてどう取り組んでいこうとしているのか…。

そんなことを伺いながら、共感できるのか、自分とは違うかもと感じるのか、実際に働く人と話し、一緒に働く仲間として価値観を確認することも大切です。

実際に会って感じた点を判断材料に加えることで、入社後の納得性も上がります。

インターネット上で情報は多く集まりますが、直接会うからこそ得られることはまだまだ多いのです。


企業はどうして大学の成績を聞くのか?

先日、文部科学省が大学や企業を対象にした調査(8月1日時点)の結果が公表されました。

その中で、企業が「学業成果の活用」をしているかという点も調べられています。

大学の成績と言えば、教官によって評価方法も基準も異なります。

出席をしっかりチェックしている講義もあれば、レポート提出だけだったり、試験一発勝負だったり…。

評価方法も基準も様々なので、企業も成績ですべてを判断しようとは思っていません。

純粋に学力を判断したい場合には、選考の過程にSPIなどの適性検査を課して、基準に見合った学力や思考力の確認をしています。

ただ、今回の調査を見ると、61.5%の企業が面接内で学業成績について質問していて、昨年より更に3.3ポイント増えているのです。

「他の評価と合わせて多面的な評価をする」や、「学業に対する取り組みや考え方の特徴を知る」が中心ですが、自己アピールポイントの補足や裏付けにも活用されています。

学生さんは、成績表を提出する時に、成績が「いい」「悪い」だけを気にしています。

もちろんその点も大切ですが、学業への取り組み姿勢や考えが話せることの方が、企業にとっては大切なのです。

学業成績の話題になると、学力偏重や学歴差別という批判に繋がる場合も多く、賛否両論盛り上がります。

ただ、「勉強」というやりたくない課題にどのように取り組み、どうやり遂げるかは、同じく「task」である仕事への取組み姿勢と共通することも多く、そういった意味で企業では参考にされているのです。


話し相手を「観察」する

「相手の顔色をうかがう」というのは、いいイメージでは使われない表現です。

ただ、相手の様子に合わせて消極的な行動をとるのではなく、相手の表情に意識を向けることは大切です。

面談の中では、もちろん相手(クライエント)の様子を無視することはできません。

カウンセリング技法にも、「クライエント観察技法」があるくらいですから。

これは、簡単に言えば「クライエントのことをよく観察すること」なのですが、普段の会話の中でも、できているようでできていない部分になります。

自分の中に考えがあったり、伝えたいことに気を取られていると、ついつい相手の様子に気づかないこともあります。

私も、以前CDA資格試験へ向けてロールプレイで練習をしていた時に、有資格者の方に指摘を受けました。

退職を余儀なくされた中年男性のクライエント役と向き合っていたとき、いつまでもその退職に至る詳細を聞き出していた私に、そのロールプレイが終わった後、有資格者の方が言いました。

「本当に話したくない嫌な表情をし続けているのに、気づかなかったの?」

そう言われてハッとしました。

話を聞きだすことに一生懸命だった私は、「気づかなかった」のです。

「相手のため」という名のもとに、相手の気持ちを無視して「相手が受け入れられない」話をし続けていては何にもなりません。

その経験を経て、クライエントと向き合うときは相手の様子をしっかり「観察」し、言葉と表情が矛盾していないか、話しているうちに変化していないか、など意識するようになりました。

よりよい助言をしようと思うあまりに、相手の反応を無視して「いい意見」を話し続けるのではなく、相手の気持ちに沿った関わりをするために、「観察」の視点は大切です。


相手の気持ちを「体感」する

キャリアコンサルタントを目指して取り組む方々と接する中で、ロールプレイは欠かせません。

国家資格のキャリアコンサルタント試験は、「学科」や「論述」試験だけでなく、15分間の面談(キャリアコンサルティング)を実際に行い、その内容を振り返る口頭試問も含めた「実技」試験があるのです。

試験対策としてフィードバックさせていただくことも多いのですが、ロールプレイのクライエント(相談者)役をさせていただくこともあります。

自分の実体験を話すこともありますし、設定した役として相談に至る背景も含めて準備し、臨むこともあります。

しっかり準備したら、ロールプレイではその役になり切ってキャリアコンサルタント役の方に向き合い「相談」していきます。

この体験は、実はキャリアコンサルタントとして面談するうえで、とても勉強になるのです。

クライエントはどのように接してもらうと話しやすいのか、どのように問われると無理なく自然に内省していけるのか、答えにくい質問は何か、聴いてもらえている実感はどういうときに感じるのか、などなど…。

キャリアコンサルタントとしてクライエントに向き合うとき、その感覚を知っているかどうかで、接し方は変わってきます。

それも、知識やスキルとして「知っている」ことと「体感した」こととでは、大きな違いがあります。

実社会でも、いろいろな経験をした人は、相手の気持ちが理解できると言います。

「体感」して理解したことを、実際のロールプレイや面談で活かすことで、関わり方に深みが増していきます。


大切なことは、「悩み」「迷う」からこそ得られる

2018年卒の大学生の就職活動は内定式も終わり、そろそろ終息しつつあります。

実際に学生さんと関わっていると、巷で言われている「売り手市場」を本当に実感します。

厳しい就職活動を強いられる時代には、すんなり結果に至らないケースでも、あっさり内定取得できる場合も多く…。

方向性が絞り切れておらず、手当たり次第に活動している学生。

人当たりがよくコミュニケーション力はあるけれど、その企業に向けての志望度が感じられない学生。

対人経験が少なく、社会人として人と接していくうえでまだ不安がある学生。

こういった学生さんの場合、いわゆる「自己理解」「企業研究」「コミュニケーションスキル」などがまだ不足しているのです。

もともと学生生活では不自由していなかったので、就職活動をきっかけに、通過しない理由を悩んだり迷ったりして、徐々に身につけていけばいいのです。

周囲の人に話を聞いたり、自問自答したり、社会人との接し方を練習したり…。

「苦しむのは嫌」でも、少し視点をずらして先のことを考えると、その過程はとても大切です。

その過程の中で自分を見つめ、納得し、覚悟も決まります。

大学新卒の就職活動は、初めて経験することばかり。

何だか難しそうでハードルが高いと思っていたのに、現実には「売り手市場」で思った以上に結果に繋がってしまい、迷わずあっさり就職先を決めてしまう例も多くなっています。

結局入社後に迷い、早期退職に至る場合も。

就職活動の中で、いかに自分を見つめ、企業を見つめ、将来へ目を向けていけるか。

私たちキャリアコンサルタントはもちろん、親御さんや企業の方々にも心がけてほしい点です。


学び続ける「社会人」の後押しになる給付制度変更

国家資格「キャリアコンサルタント」が、10月から「専門実践教育訓練給付制度」の対象になり、今までと給付率が変更になりました。

今までは、受講にかかった費用の20%が受講後給付されていましたが、この制度を活用すると40%給付されます。

さらに、1年以内に資格に合格すると、追加で20%支給されます。(詳細は個々に異なりますので、ハローワークにお問い合わせください。)

がんばれば合計60%の受講費用が給付されることになり、仕事上、資格取得を迷っている方には、力強い後押しとなる制度変更です。

そういった意味でも注目されているキャリアコンサルタントの資格ですが、国家試験は2団体が実施しています。

特に、実技試験(論述と15分の面談ロールプレイ)は受験する団体によって問題が違うのです。

私は、両団体の資格を取得しており、以前とは異なるもう1つの団体の養成講座にも関わることになりました。

そもそも、国家試験を2団体が実施して、試験内容が違うということに、気持ちは複雑です。

でも、資格取得を目指す方々に向き合っていると、学ぶことへの向上心や対人援助職への思いは同じだと実感します。

団体の方向性の違いもある中、大切なことは何かを私も振り返って考えつつ、携わっていきたいと思います。