ある日、キャリアセンターへ添削で来談した彼は、既に6回ほど来所していました。
今まで彼と面談した複数の担当者は、彼の自己PRに対し「ありきたり」だったり「表面的」だったりというコメント。
私も彼の持参したエントリーシートを読み終えて伝えたのは、「説明はよくわかるけど、自分が体験したもっと具体的な経験をもとに書いてみたら」でした。
そこでどんな経験があるかと聞いてみたのですが、「大学のサークルはすぐ辞めてしまったし、高校は部活へ入っていなかった」とのこと。
引き続き、既に書かれているアルバイト以外の話をと、他の経験を尋ねていきました。
すると、高校はSSH(スーパーサイエンスハイスクール)コースで、東京での研究発表の機会、海外から招待した学生とのディスカッションと、様々活動していたと言うのです。
それは企業の方もぜひ聞きたいから、その時のことを思い出して書いてみよう!
と言ったのですが、いい返事がきません。
しばらく、私がはげまし、その学生さんが渋る、というやりとりが続きます。
いろいろな角度から聞いているうちに話し出したのは、受験に失敗して不本意な大学へ来てしまい、SSHだということも敢えて書いていなかったとのこと。
同級生は有名な大学へ進学しているのに、自分は大したことしていないし、英語もあまりできないし…その時のことを書いても、と思っていたと。
その話を聞いて、
就職活動はリセットの場でもあること、受験の頃の経験はまだ消化できていなくても、今までの人生全て、がんばったことは先へ活かせることを話しました。
私の話を聞いてじっと考え込む彼。
「ありがとうございます!!」と吹っ切れたように表情が変わり…。
なんていうドラマ的展開になるのは傷も浅い場合。
現実、目の前の彼は、今までの大学生活でも抱え込んでいた思いを振り返るような表情で、
「そうなんですね…もう一度自己PRを作ってみます」
と帰っていきました。
彼が過去の自分を認めてあげることができ、高校の話を胸を張って企業へ話せること
そして、そんな彼の将来に期待して喜んで受け入れてくれる企業に出会えること
進む彼の背中に、「エール」を!