企業はどうして大学の成績を聞くのか?

先日、文部科学省が大学や企業を対象にした調査(8月1日時点)の結果が公表されました。

その中で、企業が「学業成果の活用」をしているかという点も調べられています。

大学の成績と言えば、教官によって評価方法も基準も異なります。

出席をしっかりチェックしている講義もあれば、レポート提出だけだったり、試験一発勝負だったり…。

評価方法も基準も様々なので、企業も成績ですべてを判断しようとは思っていません。

純粋に学力を判断したい場合には、選考の過程にSPIなどの適性検査を課して、基準に見合った学力や思考力の確認をしています。

ただ、今回の調査を見ると、61.5%の企業が面接内で学業成績について質問していて、昨年より更に3.3ポイント増えているのです。

「他の評価と合わせて多面的な評価をする」や、「学業に対する取り組みや考え方の特徴を知る」が中心ですが、自己アピールポイントの補足や裏付けにも活用されています。

学生さんは、成績表を提出する時に、成績が「いい」「悪い」だけを気にしています。

もちろんその点も大切ですが、学業への取り組み姿勢や考えが話せることの方が、企業にとっては大切なのです。

学業成績の話題になると、学力偏重や学歴差別という批判に繋がる場合も多く、賛否両論盛り上がります。

ただ、「勉強」というやりたくない課題にどのように取り組み、どうやり遂げるかは、同じく「task」である仕事への取組み姿勢と共通することも多く、そういった意味で企業では参考にされているのです。


話し相手を「観察」する

「相手の顔色をうかがう」というのは、いいイメージでは使われない表現です。

ただ、相手の様子に合わせて消極的な行動をとるのではなく、相手の表情に意識を向けることは大切です。

面談の中では、もちろん相手(クライエント)の様子を無視することはできません。

カウンセリング技法にも、「クライエント観察技法」があるくらいですから。

これは、簡単に言えば「クライエントのことをよく観察すること」なのですが、普段の会話の中でも、できているようでできていない部分になります。

自分の中に考えがあったり、伝えたいことに気を取られていると、ついつい相手の様子に気づかないこともあります。

私も、以前CDA資格試験へ向けてロールプレイで練習をしていた時に、有資格者の方に指摘を受けました。

退職を余儀なくされた中年男性のクライエント役と向き合っていたとき、いつまでもその退職に至る詳細を聞き出していた私に、そのロールプレイが終わった後、有資格者の方が言いました。

「本当に話したくない嫌な表情をし続けているのに、気づかなかったの?」

そう言われてハッとしました。

話を聞きだすことに一生懸命だった私は、「気づかなかった」のです。

「相手のため」という名のもとに、相手の気持ちを無視して「相手が受け入れられない」話をし続けていては何にもなりません。

その経験を経て、クライエントと向き合うときは相手の様子をしっかり「観察」し、言葉と表情が矛盾していないか、話しているうちに変化していないか、など意識するようになりました。

よりよい助言をしようと思うあまりに、相手の反応を無視して「いい意見」を話し続けるのではなく、相手の気持ちに沿った関わりをするために、「観察」の視点は大切です。


相手の気持ちを「体感」する

キャリアコンサルタントを目指して取り組む方々と接する中で、ロールプレイは欠かせません。

国家資格のキャリアコンサルタント試験は、「学科」や「論述」試験だけでなく、15分間の面談(キャリアコンサルティング)を実際に行い、その内容を振り返る口頭試問も含めた「実技」試験があるのです。

試験対策としてフィードバックさせていただくことも多いのですが、ロールプレイのクライエント(相談者)役をさせていただくこともあります。

自分の実体験を話すこともありますし、設定した役として相談に至る背景も含めて準備し、臨むこともあります。

しっかり準備したら、ロールプレイではその役になり切ってキャリアコンサルタント役の方に向き合い「相談」していきます。

この体験は、実はキャリアコンサルタントとして面談するうえで、とても勉強になるのです。

クライエントはどのように接してもらうと話しやすいのか、どのように問われると無理なく自然に内省していけるのか、答えにくい質問は何か、聴いてもらえている実感はどういうときに感じるのか、などなど…。

キャリアコンサルタントとしてクライエントに向き合うとき、その感覚を知っているかどうかで、接し方は変わってきます。

それも、知識やスキルとして「知っている」ことと「体感した」こととでは、大きな違いがあります。

実社会でも、いろいろな経験をした人は、相手の気持ちが理解できると言います。

「体感」して理解したことを、実際のロールプレイや面談で活かすことで、関わり方に深みが増していきます。


大切なことは、「悩み」「迷う」からこそ得られる

2018年卒の大学生の就職活動は内定式も終わり、そろそろ終息しつつあります。

実際に学生さんと関わっていると、巷で言われている「売り手市場」を本当に実感します。

厳しい就職活動を強いられる時代には、すんなり結果に至らないケースでも、あっさり内定取得できる場合も多く…。

方向性が絞り切れておらず、手当たり次第に活動している学生。

人当たりがよくコミュニケーション力はあるけれど、その企業に向けての志望度が感じられない学生。

対人経験が少なく、社会人として人と接していくうえでまだ不安がある学生。

こういった学生さんの場合、いわゆる「自己理解」「企業研究」「コミュニケーションスキル」などがまだ不足しているのです。

もともと学生生活では不自由していなかったので、就職活動をきっかけに、通過しない理由を悩んだり迷ったりして、徐々に身につけていけばいいのです。

周囲の人に話を聞いたり、自問自答したり、社会人との接し方を練習したり…。

「苦しむのは嫌」でも、少し視点をずらして先のことを考えると、その過程はとても大切です。

その過程の中で自分を見つめ、納得し、覚悟も決まります。

大学新卒の就職活動は、初めて経験することばかり。

何だか難しそうでハードルが高いと思っていたのに、現実には「売り手市場」で思った以上に結果に繋がってしまい、迷わずあっさり就職先を決めてしまう例も多くなっています。

結局入社後に迷い、早期退職に至る場合も。

就職活動の中で、いかに自分を見つめ、企業を見つめ、将来へ目を向けていけるか。

私たちキャリアコンサルタントはもちろん、親御さんや企業の方々にも心がけてほしい点です。


働くことで、その人の生き方も変わる

凄惨な殺人事件が世間の注目を集めています。

容疑者が、正社員を辞めてからの仕事の遍歴を知り、「働くことで、その人の生き方も変わる」ことを感じます。

「働くこと」と「生き方」は、「ニワトリが先かタマゴが先か」と同じく、どちらが先で影響しあっているかは分かりにくいです。

でも私が多くの方々の「働くこと」に携わる中で、「生き方」との関わりを実感することも多いのは事実です。

公共職業訓練としてパソコンを教えている会社で、修了後の就職支援をした方もその一人です。

その方は、大学受験に失敗してから引きこもりがちなまま23歳になり、そんな日々を何とかしたいと職業訓練に通い始め、日々通学するなかで生活のリズムを整え、他者との関係も築きながら社会への一歩を踏み出していました。

彼女はクラスで一番若い女性だったにもかかわらず、地味な服装で化粧っ気もなく、髪も後ろで一つに黒ゴムで縛っていました。

真面目な彼女は日々パソコンに取り組んでMOSの資格も取得。

しかし、修了日が近くなって始めた就職活動では、月一回の通院や今までの職歴の無さもあり、なかなか結果が出せません。

そこで、まずは契約社員としての勤務から…と臨時職員(公務)に応募し、何とか社会復帰を果たしたのでした。

契約期間まで何とか務めた彼女は、再度就職活動をし、今度はリース会社の事務職に正社員として採用されました。

その後3か月…

仕事帰りに立ち寄ってくれた彼女の姿を見てビックリ。

きれいにメイクしてウェーブした髪は華やかに。

「働いた給料で”セシルマクビー”に買い物に行くのが楽しみ!」

見た目はもちろん、目の輝きが別人でした。

以前は肩身が狭くて会えないと言っていた友人と「食事に行く約束をした」と楽しそうに話してくれた彼女の姿を見て、私は「働くこと」は「生き方」そのものを変えるのだと強く実感しました。

収入が得られるだけでなく、働くことで自信がつき、生活にもメリハリが。

「働くことで、その人の生き方も変わる」

両極端な例ですね。


台風も過ぎ、今年も終わりが見えてきた。

すっかりブログ更新の間が空いてしまいました…。

週末の度に来る台風に電車の心配をしているうちに、もう今日は10月31日。

今年もあと2か月を残すのみとなりました。

赴任していた夫が戻ってくることになり、引っ越しやら片付けやら、仕事の合間にバタついているうちにあっという間に日々が過ぎ、もう10月も終わりです。

そんな日々の中で、ついついブログが後回しになってしまいましたが、ここは仕切り直して、また11月からボチボチと進めていきたいと思います。

10月は、セルフキャリアドック制度を活用された企業へ月初・月末と分けて、3日間に渡りお伺いしました。

それぞれの事業所へ1日のみお伺いする場合が多いので、多くの方と関われる機会を頂いたことに感謝しております。

お話を伺う中で、企業という組織の中でそれぞれの方が「思い」を持って向き合われていることを改めて実感しました。

その「思い」を組織の中で活かせるよう、現状や自身の強みを整理し、今後へ向けてお話を伺っていくと、ぐっと意思のこもった表情へと変化していきます。

「キャリアコンサルタントが企業に入って社員の話を聞くなんて、転職したい気持ちをあおるんじゃないか」という話をされることも多いのですが、実際には、現状の中で解決の可能性を見つけられることばかり。

経営者の方々にキャリアコンサルティングの意義を感じていただけるべく、取り組みは続きます。

 


衆議院選挙へ投票に行く?

あれよあれよという間に衆議院は解散し、今月22日は投票日となりました。

選挙権が18歳から、となったので、前回はタッチの差でできなかった次男の「初投票」の機会が巡ってきました。

最近は若者のみならず、投票率は低空飛行を続けています。

でも私個人としては、「変わらない」から「投票しない」より、「変わらないかもしれない」けど「何もしないと何も起こらない」と考えています。

選挙権の年齢を下げても、全体的に、投票に行くのは年金受給者世代が中心です。

こんなにITも進み、マイナンバー制度も導入されたというのに、若者世代の意見を反映しやすいインターネットでの投票に本腰を入れないあたり、若者世代の得票に消極的な「悪意」も感じます。

今の若者が将来に渡って働き、収める税金の負担や使い道を思えば、若者にこそ意見を反映できる機会を得て欲しいと思います。

決定権を握った世代が、後の世代に責任と義務だけを知らず知らず(意図的に?)負わせるなんて…。

仕事先の大学で、徴兵に赴く留学生の話を聞き、日本も徴兵制になったらどうなる?自分の子供が対象になったら?と考えさせられる機会もありました。

今回の選挙も、政治家の思惑やしがらみが表に出るにつけ、「何だかな~」と感じてはいます。

でも、異なる世代同士が、相手世代のことも思い、少しでも将来へ向けて考える機会になればいいな…と思います。


「家業を継ぐ」ということ

車から変な音がするので、いつもお願いしている車屋さんへ点検に持っていきました。

7年前まではうちの隣にお店があって、車に何かあると駆け込んで、度々助けてもらっていた「お隣さん」です。

今は歩いて10分ぐらいの所へ移転してしまったのですが、今でも点検や修理など、車に関することはとても頼りにしています。

そして、そこのお孫さん3人は、うちの子供たちと同年代。

全員男の子です。

その中に、「専門学校トヨタ名古屋自動車大学校」に通い、後を継ぐべく勉強中のお孫さんもいます。

先日車を持っていったら、おばあちゃんとお孫さんが店番中でした。

会社の規模は様々でも、後継者問題は事業にとって大きな問題です。

どんなに伝統のある老舗も人気企業も、後継者がいないと途絶えてしまいます。

「家業を継ぐ」場合、単に周囲から期待されるという面だけでなく、身近で働く姿を見ているので興味を持ちやすい面もあります。

ただ身近なだけに、良い面も悪い面も知ることになり、そこをどのように将来像へ繋げていくかはその家それぞれの関わり方によって異なります。

その車屋さんは、無事後継者を育てることができたようです。

「これでいつお父さん(おじいちゃんのこと)が倒れても大丈夫だから!」

店を手伝う孫の姿を見ながら、そう話すおばあちゃんの言葉に笑いながらも、その言葉の重みを感じました。


名古屋港水族館に行ってみた。

久しぶりに名古屋港水族館に行きました。

周りを見回せば、インスタグラムやTwitter向けに写真を撮る女子ばかりのペアやグループも多く、男女のカップルは外国人。

水族館の客層も変わったものです。

久しぶりにイルカショーを見に行ったら、たくさんのイルカが!

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トレーナーとイルカとの一体感あふれるステージでした。

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ライトアップされたクラゲたちは、ふわふわと漂って癒しの空間。

IMG_2258 生まれたばかりのアカウミガメの赤ちゃんも

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チンアナゴもニシキアナゴと一緒にユラユラ

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大水槽では、ハロウィーンバージョンで骸骨姿のダイバーが、餌付けを見せてくれました。


学び続ける「社会人」の後押しになる給付制度変更

国家資格「キャリアコンサルタント」が、10月から「専門実践教育訓練給付制度」の対象になり、今までと給付率が変更になりました。

今までは、受講にかかった費用の20%が受講後給付されていましたが、この制度を活用すると40%給付されます。

さらに、1年以内に資格に合格すると、追加で20%支給されます。(詳細は個々に異なりますので、ハローワークにお問い合わせください。)

がんばれば合計60%の受講費用が給付されることになり、仕事上、資格取得を迷っている方には、力強い後押しとなる制度変更です。

そういった意味でも注目されているキャリアコンサルタントの資格ですが、国家試験は2団体が実施しています。

特に、実技試験(論述と15分の面談ロールプレイ)は受験する団体によって問題が違うのです。

私は、両団体の資格を取得しており、以前とは異なるもう1つの団体の養成講座にも関わることになりました。

そもそも、国家試験を2団体が実施して、試験内容が違うということに、気持ちは複雑です。

でも、資格取得を目指す方々に向き合っていると、学ぶことへの向上心や対人援助職への思いは同じだと実感します。

団体の方向性の違いもある中、大切なことは何かを私も振り返って考えつつ、携わっていきたいと思います。