〇年後を見据えて

大学で就職支援というと、学生さんと向き合うのは、早くて3年生の夏から。

ほとんどが、3年生の冬から4年生までが対象となります。

先月まで4年生と向き合い続けた日々から一変、私は今月から、違う大学の1年生を対象とした講義の評価作業に携わっています。

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1年生達は、グループワークを通じて出した結論を紙にまとめて提出するのですが、これがなかなか、グループや学科の間で差が大きいのです。

そもそも設定や記入する内容を把握できていないグループもあれば、その点をメモに取り、項目ごとに答えを整理して記入し、更には自分たちの考えまで掘り下げることのできたグループもあるのです。

同じ講義を受け、同じ形態でグループワークをしたうえで、この差を目の当たりにすると考えさせられます。

実際に4年生と接する中で、就職活動が動き出す頃にはあったらいいとつくづく感じていたのは「文章力」と「コミュニケーション力」

感想をずらずらと書き連ねたエントリーシートを持ってきた4年生の学生さんも、早い年次から、結論から書き理由を考えることや、5W1Hを意識した文章作成を繰り返していれば、もっと伝わりやすい文章が作れたはず。

「文章力」も「コミュニケーション力」も早いうちから!

〇年後の就職活動、更にはその先の将来を見据えて積み重ねることの大切さ。

それを実感しているからこそできる目線で、学生さんと関わっていきたいです。


第4回 キャリアコンサルタント試験

先週の週末から今週末にかけて、第4回キャリアコンサルタント試験(国家資格)が行われました。

私が昨年末から今年の2月まで養成講座をサポートした受講生の方々が、今回の試験に臨みました。

先週28日が学科と論述、今週3・4日が実際のキャリアコンサルティングをロールプレイングする実技試験。

私も、2月に養成講座が終わった後、自主勉強会に3回参加させていただき、実技試験対策としてロールプレイのフィードバックなど、一緒に勉強に取り組んできました。

だからこそ、受験する方々の健闘を、この2週間陰ながら願ってきました。

受験された皆さん本当にお疲れさまでした<(_ _)>

 

そして今夜は試験の打ち上げ。

それぞれに結果への思いはありますが、何はともあれ、パァ~っと楽しいお酒で盛り上がりました。

試験については、回を重ねるごとに、学科試験の方向性が養成講座の内容と微妙にずれてきていると感じています。

せっかく講座で学び、仕事以外のプライベートの時間をつぎ込んで勉強を重ねた方々の、その努力が報われる内容にしていただきたいと切に願います。

受験したみなさん、本当にお疲れさまでした。そして、キャリアコンサルタントになったら、仲間として一緒にがんばりましょう!


就職活動はこれからの生き方を考えるいい機会

3月から支援させていただいた大学での勤務も今日が最終日。

今まで継続して支援していた学生さん達が顔を出してくれました。

まだ結果が出ていない状況ですので、今後の活動内容や方向性も聞きながらのクロージングです。

就職活動は、内定という結果が出ることが目的ではありますが、その企業で働きだしてからの姿も含め、その学生さんの今後の生き方を見つめるいい機会でもあります。

働くことへの意識や姿勢だけでなく、何か迷った時にはどうとらえ、どう乗り越えていくか。

自分にはどんないい所があって、何を頼りに進んでいったらいいか。

そんな、これからの人生で何度となく訪れる瞬間への向き合い方も考える機会です。

高校野球の強豪校に県外から入学して頑張った経験を持ちながら自信がないという学生さんとは、周囲の評価は高いしその経験も自信を持っていい内容だからと、とにかく何事もやってみることを固く約束。

そして、結婚式場のアルバイトで、勤務状況を評価されて新婦担当をと期待されながら、まだできていないからと、面接であえてその話題を避けていた学生さんには、社員に期待された働きぶりや、今目指してがんばっている様子に自信を持って話すように励ましを。

自信も元気もなく来談し始めた学生さん達ですが、表情明るく引き続き就職活動に向かっていった様子に安心しつつ、別れを告げました。


面接は「互いを理解する場」

大学生の就職活動も前半戦が終わり、、経団連の面接選考解禁日である6月1日を前に、内定を取得した学生の中には、就職先を決めて就職活動を終了する学生も出てきました。

そんな中、内定辞退の相談で学生が来談しました。

話を聞くと、最終面接に臨んだ2社の志望順位が選考を受ける中で変わり、2社から内定をいただいたものの、もともと第一志望だった企業の内定を辞退したいというのです。

小売業と商社の最終選考を受けたその学生は、面接の最後の質問として、

「少子化が進み人口減少する中で、会社として何か取り組んでいますか?」

と役員に質問したそうです。

その質問を準備していること自体、優秀な学生さんです。

そして、その時の回答が…。

某食料品小売業は、将来「こう取り組んでいきたい」と話すばかりで現時点で取り組んでいる内容が話題に出ず心配に。

反対に、某文房具商社は、学生に対しても真剣に現在の取り組みについて説明してくれた。

とのこと。

面接を受ける学生は、どうしても「選考される」「選ばれる」意識が強いのですが、実は面接は、企業の方と接し、直接話ができる貴重な機会です。

しっかり準備をしたうえで「この会社で働いていく」自分を想像し、「この方たちと仕事をする」自分を現実的に判断することも大切です。

面接の最後にする質問を準備して回答する内容やその時の対応を持ち帰ったり、面接での質疑対応を通じその企業の印象を判断したりします。

もちろん、今は会社説明会や面接を専門の企業へ委託している企業もあります。

そのこともその企業の方針だとは思いますが、面接も最終段階に近づけば社員が対応するケースがほとんどです。

最終的にどの企業で働くと決めるのか、その決め手を自分で集めることができるのも、面接なのです。


いろんな仕事

今日は豊田市内で、瓦ぶきのお仕事に携わる方のキャリアコンサルティングでした。

世の中には本当にいろいろな仕事があります。

私も事務職という点では、一般事務、会計・経理事務、営業事務、医療事務、変わったところでは職業訓練の運営事務などと様々経験してきましたが、それもたかだか事務職だけのこと。

セルフ・キャリアドックを活用する企業の従業員の方へキャリアコンサルティングをするとなると、本当に様々な仕事をされている方と接することになります。

当然、面談前にはその企業の仕事内容を把握し、下調べして臨みます。

下調べをしていると、私の頭の中には子供の頃NHKの教育テレビで見ていた「はたらくおじさん」のテーマソングが…。

もちろん、自分の経験で得意ジャンルを決め、その業界だけを対象にするという考え方も一つです。

でも、知っているから当たり前だと思い込むことや、さらっと聞き逃してしまうこともあるかもしれません。

これからもしっかり事前準備をして丁寧にお話を伺うことで、面談された方に有意義な時間を過ごしていただきたいと思っています。

今まで知らなかった仕事にがんばられている方に敬意を!

そしていろいろな仕事の方が、元気に明日の仕事に取り組まれますように。


看護師を目指す学生たち

世間はお休みモードでしたが、企業の採用担当者の方々はゴールデンウィーク中も休みのないところが多かったようです。

連休を挟んで就職活動は進展し、キャリアセンターを来訪する学生さん達もぐっと人数が減りました。

売り手市場ということで言えば、内々定をいただき、ひと段落した学生さんも多い様子です。

そんな中、各地の病院の看護師採用試験があちこちで行われています。

看護師は私が尊敬する仕事の一つです。

短い期間ではありますが、地元市民病院の整形外科で医療事務員として働いていた時期があり、診察室内の業務をする中で、看護師さん達がどのように働いているかも実感しています。

瞬時の判断が求められる状況や、笑ってミスをやり過ごせない内容ばかり。

そんな中、患者さんへてきぱきと処置をし、的確な説明をしている姿は、本当に尊敬できました

看護師を目指す学生さんたちは、日々内容の濃い授業を受けていますが、さらにこの時期は、病院実習の合間を縫っての就職活動となります。

学生さんと模擬面接をする中で、よくありがちな質問である「看護師を目指した理由」や「実習で印象に残ったこと」を聞くのですが、この質問に対する回答が濃いのです。

学生さんによってもちろん回答は違うのですが、「目指した理由」によく登場する「看護師を目指すきっかけになった看護師さん」も含め、世の中の一体どれだけの看護師さんが、命や人と向き合ってがんばってくれていることか。

そんな内容を含め、看護師になりたい思いや実習での出来事を語る学生さんの回答を聞きながら、感動しうるっとしてしまうことも多いのです。

この思いを持ち続け、理想の看護師を目指し、活躍することを願っています。

そこで、まずは選考通過を。

そのために、私も精一杯力になりたいと思います。


働く気持ちを「上げる」もの

今お伺いしている大学で、卒業式の日に会った学生の後日談を聞きました。

鉄道関係を軒並み受け続け、最終的に鉄道マンになれた学生さんです。

鉄道同好会の顧問の所に、「念願叶って楽しくてしょうがない」と、制服姿の写真が添付されたメールが来たとのこと。

制服姿で憧れの職務に張り切っている彼の話を聞き、こちらまでうれしくなりました。

仕事を選ぶ時やどんな仕事に就こうか考える時、他の人にとってささいなことがあこがれやモチベーションのもとになることがあります。

以前、民間の職業訓練校で、再就職支援として子供さんが2人いる20代後半の女性の方と話をしたら、「制服を着て事務がしたい!」と言われました。

今どき、事務職でも制服のないところも多く、「事務職ならいいのかな~?」と聞くと、「制服を着て働きたい!」と。

そのこだわりを不思議に思いつつ、求人検索を手伝った結果、近所の調剤薬局の事務員として就職することができました。

家も近いし、自宅から制服を着て通っているとのこと。

私も、子育て後に飲食店のランチタイムで働きながら、「ネームタグを首から下げ、腕時計したまま働きたい」と思って簿記の勉強を始め、その後大学の会計事務の仕事に就くことができました。

カウンセラーとして初めて実務についた時も、自分のネームプレートの入ったブースで面談できた時は感慨深く、その時撮ったブースの写真は今でもスマホの中に残っています。

もちろん、仕事はイメージ通りにいくことばかりではなく、気持ちが下がり心折れる時もあります。

でも、その仕事に対して、「私はこれに気持ち上がったんだよな~」というものがあることは、ふとした心の支えになるはずです。


インターンシップの効用

1、社会化される。

企業へ実際に2週間程度入ることになるため、大学でも参加者は事前研修を必須項目としているところも多いのです。

事前研修では、依頼する電話のかけ方やビジネスマナー、協調性を磨くグループワークなど、授業を受ける立場の学生ではなかなか意識しない、人と関わる上での社会性をレクチャーされます。

これを一度経験しておくと、就職活動が始まった時に、社会人レベルを想像しやすくなります。

 

2、自分の志向を知る。

大学によってインターンシップ先の選び方は様々ですが、少なからず複数の企業の中から自分の意思で選ぶことになります。

2週間どんな仕事を体験したいか考えることで、「自分が仕事をする」ということに向き合うことになります。

世の中に仕事は無数にありますので、本選考前にこのステップを体験することは、必ず先に繋がります。

 

3、本選考のシュミレーションができる。

簡単な履歴書を提出することになるため、証明写真を撮って履歴書を書いて、といった作業をします。

それまでは髪の毛を染めていた学生も、証明写真を撮るために黒髪にするように促されます。

服装も、就活用または入学式や成人式のスーツで、写真を撮りに行く必要があります。

他にも、単位とは関係なく、人気企業が実施しているインターンシップへ自分で申し込む場合は、エントリー(申込み)→エントリーシート提出→(グループディスカッション→)面接といった、本選考と同様のステップを体験することになります。

人気企業のインターンシップは、本選考より通過率が低い場合が多く、「企業の行う選考はなかなか通らない」ことを体感し、本選考へ向けた準備を、早い段階から真剣に取り組む姿勢が生まれます。


インターンシップが単位になる。

大学4年生の就職活動は佳境を迎え、面接が解禁になる6月より早く、現実には既に多くの企業で面接の段階に入っています。

おうかがいしている大学での業務も、半月前までは、履歴書やエントリーシートの添削が一日中続いていましたが、このところは、模擬面接の合間にエントリーシートの添削をする感じ。

中には内々定をもらった学生からの相談も入るようになりました。

そんな中、今動きがあるのは、3年生対象のインターンシップの申込みです。

夏休みを中心に実施している大学も多く、今は3年生全体へ向けてのオリエンテーションを実施しています。

最近の大学では、インターンシップが盛んです。

中学校の職場体験が「脱ゆとり」の影響で実施が押され気味なのとは反対に、大学生のインターシップは期間も2週間程度の所が多く、正規の単位として認められる大学も増えています。

やはり、実際に企業で仕事を体験する意義は大きいです。

体験したことで、その職への意欲が高まり、卒業までに大学で何を学んだらいいかを考える機会にもなります。

また反対に、体験したことで憧れと現実とを見直す機会となることもあります。

インターンシップが、働くイメージを現実的に描き、自分の方向性を決めるきっかけになることも多く、ぜひ参加してほしい取り組みです。

就職活動の期間が短期化しており、インターンシップを活用して働くイメージと現実を踏まえて、自分の方向性を考えることが、より納得のいく就職に繋がっていきます。


「アカデミック」と「実務」

大学で学生さんの模擬面接で志望動機を尋ねたら、

「大学で学んだ会計知識を活かして、経理職で力を発揮したいです!」

「あれ?この求人って経理職採用?」

「いいえ、総合職です。」

総合職採用の新入社員の半分は製造職へ、後は営業や営業事務へ配属されそうなメーカーで、今年配属があるかどうか分からない「経理職」限定の志望動機に驚いて理由を聞くと、

「ゼミの先生に添削してもらった時にこう書いた方がいいと言われました」とのこと。

運よく経理へ配属された場合は大学での知識も基礎にはなりますが、経理の実務経験者募集の中途採用ではないので、この内容ではリスクが高い…。

これ以外にも、最近の新卒就活について、大学の先生方との受け止め方のズレを感じることがよくあります。

先生方の中で、社会人経験や新卒での就職活動を経験している方は少なく、まして最近定番となった「エントリーシート」や「自己PR」は書いたことのない世代も多く…。

「就職先の企業では大学で学んだことがスキルとして活かせるんだから、その学びをアピールすればいいんだ。アルバイトで得た協調性って、何を言っているんだ!?」という考えの方もいらっしゃるようで…。

もちろん学んだことをしっかり伝えることは大切ですので、履歴書内に記入することはお勧めします。

でも現実に、経済・経営学部のスキルや理系の研究スキルだけで仕事ができるわけではありませんし、企業もその点だけでは、社員として採用する判断はできません。

チームや部署内で連携を取りつつ取り組んだり、営業職で顧客との関係を築いたりする上で、俗にいう「ヒューマンスキル(人間力)」や、その人となりを確認したいから自己PRのような項目があるのです。

その学生さんの良さが出た文章をくだらないと却下され、全て勉強面の努力だけで埋め尽くされた履歴書を目の前にすると、悩ましい気持ちになります。

学問を学ぶ場としての「大学」と「働く場」との橋渡しは、まだまだ課題が多いと感じています。

大学で学んだ学問のみならず、大学生活で成長した人間力も活かしてその先の働く場へ繋げていけるよう、情報を共有しつつ、「アカデミック」と「実務」との関わりを模索する日々は続きます。