就職活動はこれからの生き方を考えるいい機会

3月から支援させていただいた大学での勤務も今日が最終日。

今まで継続して支援していた学生さん達が顔を出してくれました。

まだ結果が出ていない状況ですので、今後の活動内容や方向性も聞きながらのクロージングです。

就職活動は、内定という結果が出ることが目的ではありますが、その企業で働きだしてからの姿も含め、その学生さんの今後の生き方を見つめるいい機会でもあります。

働くことへの意識や姿勢だけでなく、何か迷った時にはどうとらえ、どう乗り越えていくか。

自分にはどんないい所があって、何を頼りに進んでいったらいいか。

そんな、これからの人生で何度となく訪れる瞬間への向き合い方も考える機会です。

高校野球の強豪校に県外から入学して頑張った経験を持ちながら自信がないという学生さんとは、周囲の評価は高いしその経験も自信を持っていい内容だからと、とにかく何事もやってみることを固く約束。

そして、結婚式場のアルバイトで、勤務状況を評価されて新婦担当をと期待されながら、まだできていないからと、面接であえてその話題を避けていた学生さんには、社員に期待された働きぶりや、今目指してがんばっている様子に自信を持って話すように励ましを。

自信も元気もなく来談し始めた学生さん達ですが、表情明るく引き続き就職活動に向かっていった様子に安心しつつ、別れを告げました。


面接は「互いを理解する場」

大学生の就職活動も前半戦が終わり、、経団連の面接選考解禁日である6月1日を前に、内定を取得した学生の中には、就職先を決めて就職活動を終了する学生も出てきました。

そんな中、内定辞退の相談で学生が来談しました。

話を聞くと、最終面接に臨んだ2社の志望順位が選考を受ける中で変わり、2社から内定をいただいたものの、もともと第一志望だった企業の内定を辞退したいというのです。

小売業と商社の最終選考を受けたその学生は、面接の最後の質問として、

「少子化が進み人口減少する中で、会社として何か取り組んでいますか?」

と役員に質問したそうです。

その質問を準備していること自体、優秀な学生さんです。

そして、その時の回答が…。

某食料品小売業は、将来「こう取り組んでいきたい」と話すばかりで現時点で取り組んでいる内容が話題に出ず心配に。

反対に、某文房具商社は、学生に対しても真剣に現在の取り組みについて説明してくれた。

とのこと。

面接を受ける学生は、どうしても「選考される」「選ばれる」意識が強いのですが、実は面接は、企業の方と接し、直接話ができる貴重な機会です。

しっかり準備をしたうえで「この会社で働いていく」自分を想像し、「この方たちと仕事をする」自分を現実的に判断することも大切です。

面接の最後にする質問を準備して回答する内容やその時の対応を持ち帰ったり、面接での質疑対応を通じその企業の印象を判断したりします。

もちろん、今は会社説明会や面接を専門の企業へ委託している企業もあります。

そのこともその企業の方針だとは思いますが、面接も最終段階に近づけば社員が対応するケースがほとんどです。

最終的にどの企業で働くと決めるのか、その決め手を自分で集めることができるのも、面接なのです。


インターンシップの効用

1、社会化される。

企業へ実際に2週間程度入ることになるため、大学でも参加者は事前研修を必須項目としているところも多いのです。

事前研修では、依頼する電話のかけ方やビジネスマナー、協調性を磨くグループワークなど、授業を受ける立場の学生ではなかなか意識しない、人と関わる上での社会性をレクチャーされます。

これを一度経験しておくと、就職活動が始まった時に、社会人レベルを想像しやすくなります。

 

2、自分の志向を知る。

大学によってインターンシップ先の選び方は様々ですが、少なからず複数の企業の中から自分の意思で選ぶことになります。

2週間どんな仕事を体験したいか考えることで、「自分が仕事をする」ということに向き合うことになります。

世の中に仕事は無数にありますので、本選考前にこのステップを体験することは、必ず先に繋がります。

 

3、本選考のシュミレーションができる。

簡単な履歴書を提出することになるため、証明写真を撮って履歴書を書いて、といった作業をします。

それまでは髪の毛を染めていた学生も、証明写真を撮るために黒髪にするように促されます。

服装も、就活用または入学式や成人式のスーツで、写真を撮りに行く必要があります。

他にも、単位とは関係なく、人気企業が実施しているインターンシップへ自分で申し込む場合は、エントリー(申込み)→エントリーシート提出→(グループディスカッション→)面接といった、本選考と同様のステップを体験することになります。

人気企業のインターンシップは、本選考より通過率が低い場合が多く、「企業の行う選考はなかなか通らない」ことを体感し、本選考へ向けた準備を、早い段階から真剣に取り組む姿勢が生まれます。


インターンシップが単位になる。

大学4年生の就職活動は佳境を迎え、面接が解禁になる6月より早く、現実には既に多くの企業で面接の段階に入っています。

おうかがいしている大学での業務も、半月前までは、履歴書やエントリーシートの添削が一日中続いていましたが、このところは、模擬面接の合間にエントリーシートの添削をする感じ。

中には内々定をもらった学生からの相談も入るようになりました。

そんな中、今動きがあるのは、3年生対象のインターンシップの申込みです。

夏休みを中心に実施している大学も多く、今は3年生全体へ向けてのオリエンテーションを実施しています。

最近の大学では、インターンシップが盛んです。

中学校の職場体験が「脱ゆとり」の影響で実施が押され気味なのとは反対に、大学生のインターシップは期間も2週間程度の所が多く、正規の単位として認められる大学も増えています。

やはり、実際に企業で仕事を体験する意義は大きいです。

体験したことで、その職への意欲が高まり、卒業までに大学で何を学んだらいいかを考える機会にもなります。

また反対に、体験したことで憧れと現実とを見直す機会となることもあります。

インターンシップが、働くイメージを現実的に描き、自分の方向性を決めるきっかけになることも多く、ぜひ参加してほしい取り組みです。

就職活動の期間が短期化しており、インターンシップを活用して働くイメージと現実を踏まえて、自分の方向性を考えることが、より納得のいく就職に繋がっていきます。


「アカデミック」と「実務」

大学で学生さんの模擬面接で志望動機を尋ねたら、

「大学で学んだ会計知識を活かして、経理職で力を発揮したいです!」

「あれ?この求人って経理職採用?」

「いいえ、総合職です。」

総合職採用の新入社員の半分は製造職へ、後は営業や営業事務へ配属されそうなメーカーで、今年配属があるかどうか分からない「経理職」限定の志望動機に驚いて理由を聞くと、

「ゼミの先生に添削してもらった時にこう書いた方がいいと言われました」とのこと。

運よく経理へ配属された場合は大学での知識も基礎にはなりますが、経理の実務経験者募集の中途採用ではないので、この内容ではリスクが高い…。

これ以外にも、最近の新卒就活について、大学の先生方との受け止め方のズレを感じることがよくあります。

先生方の中で、社会人経験や新卒での就職活動を経験している方は少なく、まして最近定番となった「エントリーシート」や「自己PR」は書いたことのない世代も多く…。

「就職先の企業では大学で学んだことがスキルとして活かせるんだから、その学びをアピールすればいいんだ。アルバイトで得た協調性って、何を言っているんだ!?」という考えの方もいらっしゃるようで…。

もちろん学んだことをしっかり伝えることは大切ですので、履歴書内に記入することはお勧めします。

でも現実に、経済・経営学部のスキルや理系の研究スキルだけで仕事ができるわけではありませんし、企業もその点だけでは、社員として採用する判断はできません。

チームや部署内で連携を取りつつ取り組んだり、営業職で顧客との関係を築いたりする上で、俗にいう「ヒューマンスキル(人間力)」や、その人となりを確認したいから自己PRのような項目があるのです。

その学生さんの良さが出た文章をくだらないと却下され、全て勉強面の努力だけで埋め尽くされた履歴書を目の前にすると、悩ましい気持ちになります。

学問を学ぶ場としての「大学」と「働く場」との橋渡しは、まだまだ課題が多いと感じています。

大学で学んだ学問のみならず、大学生活で成長した人間力も活かしてその先の働く場へ繋げていけるよう、情報を共有しつつ、「アカデミック」と「実務」との関わりを模索する日々は続きます。


志望動機、そして私が働くうえで大切なこと

来談する大学生にとって作成が難しいと言えば、「志望動機」

実際に働いた経験がないので、仕事理解も企業理解も得た情報をもとに想像していくことになります。

そしてその想像を想像で終わらせないために、更に、企業情報を確認したり、他社と比較したり、社員の方の話を聞いたりして、裏付ける企業研究を深めていくのです。

この繰り返しをどれだけ熱意をもって時間をかけたかが、志望動機の厚みに繋がります。

と、そんな説明を学生さんにしつつ、私が新卒で入社した企業への志望動機を思い出していました。

「学校という一斉指導の場以外の、個別に学べる場で教育に携わりたい」

その動機を持つに至ったのは、大学でのアルバイト経験でした。

私は当時、FAXと電話を使って、中学生に30分間の学習指導をするアルバイトをしていました。

教材販売のアフターケアのサービスでした。

その中で、ある日、中学2年生の女の子から、「勉強できないから塾でがんばろうと思ったら、塾も試験があって入れなかった」という言葉を聞きました。

塾へ行ったことのなかった私は、勉強したいと言う意欲があるのに、一定の学力がないとその意欲を受け入れてもらえない、という事実にショックを受けました。

そこで私は、学校以外で一人一人に向けた教育に関わる企業を探し、音楽教室や通信教育、個人指導塾の企業に応募していきました。

結局、その時の思いは今も続いていて、教育関係の仕事を志向する気持ちは相変わらず強いですし、屋号「Each One」も、一人一人と向き合う気持ちを仕事でも大切にしようという思いから名付けていました。

自分にとっての仕事への思い(最近よく使う「就活の軸」のような部分)は、私の場合は結局揺らがなかったなぁ…と感じています。


エントリーシートって何?

エントリーシートは、企業によって設問を設定できるため、人気企業では一気に受ける学生の人数を絞れる選考ツールです。

今まさにエントリーシートの提出が急増して、キャリアセンターへ学生さんが駆け込んでくる時期になりました。

予め用紙を出力して手書きしたものを郵送するパターン、サイトに入力して提出するパターン、説明会に参加した人に用紙を配布して後日郵送で提出するパターン、などなど企業によって様々です。

最近では、「Open ES」を利用する企業も多くなりました。

「Open ES」はリクルートが行っていて、履歴書部分・学生時代頑張ったこと・自己PRといった文章を作成して入力しておき、指定された企業にWeb上で提出する省力ツールです。

いずれにしても、エントリーシートを時間をかけて提出していくのですが、通過率は企業・業界によって様々です。

100%通過することは難しいのです。

これが正解のあるテストと違う所。

それに、もしかすると提出とは違う部分で選考が同時に行われて、あたかもエントリーシートの結果のように連絡が来るかもしれません。

がんばって時間をかけて提出したからこそ、通過しないショックは大きいです。

でも、エントリーシートが通過しないのは、学生さんの頑張りが否定されたのではなく、その企業の方針に合わなかった場合もあるのです。

がんばって数多く提出した学生さんほど、通過したとかしないとか結果が出る機会も増えますので、心折れずに進んでいくこと、その切り替えが大切です。

ただし、通過率が50%を切るようなら何か原因があるので、キャリアセンターなどで添削やアドバイスをもらって次へ繋げる見直しをしつつ、足を止めずに進んでいくことが大切です。


より加速する選考ステップ

大学生の面談をしていると、就職活動する学生さんの話から、企業の選考状況が伝わってきます。

今年は昨年よりさらに選考ステップが加速している様子。

企業は、学生を一度集めたら選考を一気に進めてしまいたい訳で。

「午前中説明会受けて、午後筆記テストと1次面接って言われても、説明も聞いてないのに志望動機準備できないです~!」

まさに正論です。

でも現実的には、説明会へ臨む前に企業をある程度研究して志望動機を作成し、午前中の説明会を聞きながら確認・修正をしたうえで午後の選考へ臨む…という準備が必要になります。

説明を聞いて「いいなぁ~」と思った企業を帰ってから調べて、やっぱり受けてみようと思った企業の選考へ申し込む。

こんな当たり前なステップが踏めなくなっているのが現実です。

だからこそ、3月解禁前までの準備が差に繋がる…と言われたのです。

企業の求める選考ステップに流されて運よく内定までたどり着いたとしても、秋頃に、企業へ行ったり内定者と顔を合わせたりするうちに、「この会社(仕事)でよかったのかな~?」となりかねません。

入社後にそう考える人も多くなると思います。

解禁前に自己分析や企業・仕事理解に時間を費やした学生さんたちは、それを活かしてもらいたいです。

でも、取り組んでいなかった学生さん達には、慌ただしい活動の中でも、自分を振り返る意識を少しでも持って活動を進めてもらいたいと思います。

「この会社のこの点をいいと思ったのはどうしてか?」

「この仕事はよくて、あの仕事は嫌なのはどうしてか?」

自分の中にある価値観に合う会社に、少しでも多くの学生さんが結びつくことを願っています。


就職活動は、社会デビューの準備期間

3月1日から、大学3年生の就職活動が解禁になりました。

正確には「採用情報の解禁」です。

具体的には、リクナビやマイナビといった情報サイトに登録して、志望する企業にエントリー(選考参加登録)します。

他にも、今年度の採用人数等の情報が解禁になって、今まで「業界研究会」とごまかしていた企業説明会が、堂々と開かれるようになりました。

私も2日から、大学での就職活動の相談の仕事が始まり、履歴書やエントリーシートの添削、模擬面接や就職活動の相談まで、様々な内容で大学3年生を支援しています。

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少し暖かくなったと思ったら、急に寒い冬へ逆戻りして雪が舞う中、1週間活動し続けた学生さんたちは、既に「疲れた」と口にしています。

社会との接触が突然急激に始まったので、既に気持ちが気おくれしている学生さんもいます。

息切れしないで活動を続けられるような支援が必要ですね。


文章を育て続けること

大学3年生が履歴書を書き始めた頃、思いつくままにとにかく書き綴ると、一文がとても長く一回読んだだけでは伝わらない文章が出来上がります。

初めて読んだ人が理解しやすい文にするなら一行に一文程度。

「自分が書きたいように」ではなく「相手が分かりやすいように」と、相手の目線を意識して修正していきます。

誤字脱字や「てにをは」の間違いについても、他の人に読んでもらうことで修正の機会が得られます。

こうやって書いては修正し、また書いてはまとめ直す。

提出しては見直し、面接で話しては手直ししていく。

就職活動で提出する文章は、この繰り返しです。

でも、学生さんたちは早く「完成」させたい(この書き直しループから抜け出したい)訳で…。

もちろん一定レベルのものはどんどん提出してほしいのですが、それでも、常に見直し、「もっと良くなるかも」と努力を続ける心構えは大切です。

これはつまり、受験の問題とは大きく異なり、「正解のない問題」に向き合って努力し続けることなのです。

これこそが就職活動の大変さであり、大変だからこそ成長もするのです。

そして努力したことは結果に、そして自分の自信や納得にも繋がっていきます。