実務経験がない仕事も、資格を取ったら就職できる?

先日、職業訓練のことに触れましたが、

私がかれこれ10年程、職業訓練に携わる中で出会った方は本当に様々。

失業中の方の中には、職業訓練を、「手当てを受給しながら学べるせっかくの機会」と捉えて、学ぶことに集中してしまう方もいますし、

就職が目的の訓練でありながら、就職活動に向き合えない方もいます。

またその理由も人それぞれです。

 

今までは条件を優先してパートで働いてきたけど、そろそろ子供の手も離れてきたので、もっとしっかり正社員で働きたい。

でも、いままでの経験で、正社員就職できるのか?

 

土日休みで働きたいし、年齢を考えると力仕事はちょっと…。だから事務職で正社員がいい。

でも、今まで事務職の実務経験はないし。

 

私がいた施設は、いずれも事務系の職業訓練なので、こう話される方が本当に多い…。

そうすると、次の一歩がなかなか踏み出せない。

 

何か資格を、と考えることは、悪いことではないのですが、

現実として、職務経験>資格あるいは、資格+職務経験であることも多いので、現実を踏まえて自分はどうするか、考えていくことになります。

 

ここで大切なのが、違う職務経験で培った経験や姿勢の振り返りです。

実は、職種は違っても、次の方向に活かせることがたくさんあります。

だから一緒に、丁寧に振り返ることを大切に。

 

資格やそこへ向けての学びは訓練時間でしっかりと、

そして今まで培ってきた経験の棚卸しや、身についた力や強みの整理は、面談をきっかけにじっくりと。

訓練では、ジョブ・カードというフォーマットに沿って、

自分の経験を棚卸しして一緒に整理したり、

その中から見つかった強みを活かせるような応募書類を作ったり、

今までの経歴や経験して感じたことをもとに、訓練後の方向を一緒に考えたり…。

 

その方の状況やペースに合わせて、一歩ずつ伴走し、修了日を迎えます。

 


「職業訓練」は、様々な人生に出会える場

会社を辞めた…でも、なかなか今の経験やスキルでは就職が決まらない。

今までの仕事とは違うスキルを学んで、方向を変えて就職したい。

そんな方の選択肢として、「公共職業訓練」があります。

①失業手当を受給できる方の離職者訓練3ヶ月間・6ヶ月間(職場実習付き)コース

そして②受給できない方の、求職者支援訓練

詳しくは → あなたのしごと探しに、役立つスキルを。ハロトレ特設サイト|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 

そもそも、私がキャリア支援の道を目指そうと思ったのは、職業訓練で受講生の方に就職活動の支援をしたことがきっかけでした。

受講している方の就職相談にのったり、求人を紹介したり。

その中で、私の様々な職業体験を話して感謝され、

当時、それまでの自分の経験に自信がなかった私は、この方向に自分の人生をかけてみようと、キャリア支援の資格取得を目指し、今に至ります。

そんな経緯もあるので、やっぱり思い入れも強く、

場所を変えながらも、ずっと職業訓練の仕事には携わってきました。

今は、簿記会計・税法を学ぶ職業訓練で面談しています。

 

何がここでの支援のやりがいかと考えてみると…

本当に様々な年齢・経験の方が、一緒に学び、その後就職していく。

その多様性でしょうか。

若い方は10代から、定年退職後の60代の方まで。

男女とも、ここに至る経歴も様々な方が一緒に学び、時間を過ごすのは、

受講生の方にとっても、支援する側にとっても、学ぶことの多い場です。

スキルを取得する中で、若い方を励ますこともあれば、反対に刺激を受けることもあり、

人生経験の多い方の話を聞きながら、自分はどうかと考える機会もあり。

働くことをテーマに、自分の人生を見つめ、振り返り、これからの方向を考える。

そんな時間を一緒に過ごしています。

 


変化するスピードの速さと、変化に向き合う気持ちと

コロナの広がりによる振り回され感について前回触れましたが、

角度を変えると、この1年は、世の中の変化がものすごいスピードで進んだ期間でした。

コロナが終息した後に、もちろん戻ってしまう部分もあるとは思いますが、

それでも、5年や10年はかかりそうな変化が、一気に起きた1年でもありました。

私の周りで対人支援をする方々には、「直接会って話す」ことを大切にこだわりを持っている方も多かったのですが、

そんな思いも一気に吹き飛ばす勢いで、対面からオンラインへと、変化が起きました。

でも改めて考えれば、今までわざわざ出かけて会うことに、ためらいやハードルがあった方々もいた訳で、選択肢を広げる変化になったのだと思います。

地域性や安全性という面で、オンラインの可能性を大きく感じる1年でした。

 

そんな中、今年に入って「全日程オンライン」のキャリアコンサルタント養成講座を担当させていただくことになり、

更に模索する日々を過ごしています。

受講生は、愛知の方は1割ほど。

東北から九州、果ては上海にお住まいの方も!

同じ思いで、一緒に学びの時間を過ごしています。

 

私自身も、以前は場所を見てスルーしていた東京開催のセミナーも、気軽にぽちっと申し込めますし、

その前の年には、迷いに迷って諦めた北海道での研修だって、オンラインだったから参加できました。

地域的な可能性は、本当に広がりました。

 

ただ変化に向き合う気持ちは、人それぞれ。

私はどちらかと言うと変化を楽しむタイプなので、思い切ってチャレンジしてきましたが、変化は痛みを伴うものですし、変わらないことには安心感もあります。

変化する日々を語る方、この方にとってこの変化はどうだったのか。

変化と向き合う、不安や迷いなど。

人によって違うからこそ、相手の思いを思いやりながら、分かり合おうとすること、大切ですね。

 

 

* オンライン「キャリア相談」も受付中

  詳しくはこちら ↓

「キャリア相談」について

 


「関係とは築き上げること」と実感する、修了の日のさみしさ

いまキャリアコンサルタント養成講座の講師を担当しています。

去年からカリキュラムがより手厚くなって、

一日の時間数にもよりますが、学科と実技を通学で学ぶクラスだと、かれこれ半年もの間、毎週共に学ぶことになります。

今回は、途中から引き受け、1ヶ月半ご一緒したクラスが修了式を迎えました。

 

最初は、引き継ぐ前の先生のカラーもあるので、私の方も探り探り(^^;)

今まで大切にしていたことはそのまま大切にできるように、そして私が大切にしている点も少しずつお伝えしながら、徐々に私と皆さんとの関係を築いていきます。

まずは相手を知るところから。

知るためには、興味を持って、相手に合わせながら、いろいろ教えてもらいます。

もちろん、私に興味を持ってもらえたら、素直にお伝えてして…。

この繰り返し。

だんだん深まってきたな~と思っていると、もう修了日!

もっと一緒に、という思いが強くなった頃なので、今度はさみしさが募ります。

 

修了式も終わり、はぁ…と思っていた数日後、写真が送られてきました!

 

 

 

← 修了式後のクラス写真

 

 

← 受講生さんと

 

こちらは昨年のクラス →

 

写真、励みになります (^^)

 

そしてこの思いをかみしめ、また歩いていこうと思います。

 

みんな、がんばって~! 合格するの待ってるね。

そして合格したら、同志としてよろしく!


この1年で大きく変化した世の中

コロナ感染が広がって早1年

世の中は大きく変わったものです。

 

マスク着用は基本的なマナーですし、対面飲食でのコミュニケーションは自粛。

代わりにオンラインが活用されるようになって、

就職活動や研修では、当たり前の選択肢になりました。

まさか、あっという間にこんな世の中になるとは思いもよらず、

人生分からないものですね…。

 

そんな変化を「新たな可能性」と受け止め、

私も昨年はオンラインでの講座運営や面談へと幅を広げてきました。

やってみると、デメリットもあるけれど、メリットも数知れず。

特に地域的なデメリットを感じることの多い私にとって、

オンラインはエリアの可能性を大きく開くことに繋がりました。

 

そこで、2021年度は、個人向けのオンライン面談を思い切ってスタート。

合わせて、このブログも少しずつ再開していくことに。

変わりゆく世の中で、

キャリアに関わる今の私が、何を感じ、何を考えているか。

自分を見つめていきたいと思います。


「就職氷河期」世代の支援に思うこと

厚生労働省の発表によると、いよいよ「就職氷河期」と呼ばれる世代の支援に、国が動き出すようです。

私も、面談の中でその世代の方と出会うことも多く、

自分の力だけでは何ともならなかった社会の動きの中、大変だった就職活動の様子やその後の人生を聞き、

環境の影響の大きさに心を痛めていました。

「就職氷河期」と呼ばれるのは、バブル崩壊後、1990年代半ば~2000年代前半、

特に、1993(平成5)年~2005(平成17)年ごろまでに社会へ出た世代を指します。

つまり、現在35~48歳ぐらい。

支援は、公的な職業訓練を中心に、資格取得や職場実習を通じて、正社員就職を後押しする内容です。

 

職業訓練と言えば、私が「キャリア支援」の世界へ足を踏み入れたきっかけの場でもあります。

今まで、愛知県の職業訓練に、様々な角度から関わってきました。

ある時は訓練実施施設で、ある時は県の嘱託職員として、そしてある時はキャリアコンサルタントとして。

次なる仕事へ向けて、ステップを踏むにはとても役立つ制度です。

私もそのステップを最大限に役立ててもらおうと、どの立場でも力を入れて関わってきました。

 

ただ、現実的には、実務未経験の職種に対し、資格取得だけでは再就職は難しい。

それなのに、訓練を申し込みに行くと「未経験でも資格を取れば就職できる」風に言われたと、よく聞きます。

まずは、その方の過去の経験や今後の将来をしっかりと見据え、

現実的に納得のいく人生のステップにするためにキャリアコンサルティングが役立てばと、

切に思います。

土日や夜間の開講、インターネットでの受講、そんなことも検討されるようです。

デュアル訓練のような職場実習も活用し、ぜひ現実的な就職に繋げる機会にしてほしいです

 

キャリア支援をこころざし、私も今やキャリアコンサルタントとして支援に携れるようになりました。

身につけた力を活かして、今後も力になっていきたいと思います。

 

追記:「非」正規って言葉、誰が考えたのか…使う時いつも心にひっかかる。

 


平成最後の「就活解禁日」を前に

大学の履歴書添削で多くの大学生と話をしていると、今年の新卒就活は、例年にも増して「早期化」している様子。

2月の後半には、面接前に履歴書の確認に立ち寄る学生や、既にインターンシップで書類は提出し「今度最終面接なんです」と言う学生が…。

説明会へのエントリー解禁日とされる3月1日を前に、もう就活も半ばといった状況です。

今年は夏、そして秋冬と、インターンシップが多く開かれ、既にそこで企業と接点を持った学生は、2月には選考も進んでいるのです。

マイナビ・リクナビだって、以前は3月にサイトがオープンしていたのに、今ではインターンシップ用に3年生の6月から登録できます。

合同説明会だって、インターンシップ説明会や企業研究といった名称で、3月前から何度となく行われています。

敢えて「私服で」と書いてあるイベントも多く、私服の3年生たちが企業のブースを回る、という光景も普通になってきました。

今年はゴールデンウイークが10連休ということもあり、企業は4月中に内々定を出すところが多いという調査結果もあります。

そもそも、いまどき学生は、悩んだり迷ったり、本当なら成長の機会になるチャンスも、できれば避けて通りたい人も多く…。

早期化が進み、売り手市場で内々定が早く出たからといって、あまり深く考えずに就職先を決める学生が増えないことを願います。


丸ビルの角で待ち合わせ

今月から、大阪でキャリアコンサルタント養成講座が始まりました。

関東生まれの私としては、息をするように自然にボケと突っ込みをする大阪人のイメージに、楽しみ半分、不安半分。

でも、初日の緊張と言えば、受講生の方も同じこと。

何より、安心できる場で、楽しく講座を進めていくことを心に念じての初日でした。

担当クラスは、大阪駅が家から徒歩圏内という心強いアシスタントの方のサポートもあり、和やかな雰囲気の中、講座を滑り出す事ができました。

そして、教えていただいたのが、

「丸ビルの角で待ち合わせな!」っていう定番ネタ。

帰りに表に出れば、そこにはまさに「角」の無いビルが。

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帰りの駅では、エスカレーターに立つ人が右寄りで、

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部屋の中に缶詰の一日ではありましたが、大阪を感じることもできました。

また来週が楽しみ(^-^)

ただ、行きの新幹線、米原付近はどんより雪雲が垂れこめ…。

雪が降ると、よく新幹線が徐行する場所なのです。

秋の東京通いは台風でバタバタと振り回されましたが、このシーズンの大阪行きは、雪が心配。

またまた天気予報とにらめっこの日々が続きそうです。


子の就職活動に向ける「親」の気持ち

先日、マイナビから「2018年度就職活動に対する保護者の意識調査」が公表されました。

その結果によれば、親が入社して欲しいのは「公務員」がダントツ1位

そしてその後には、トヨタ・NTT・JAL(日本航空)・パナソニック、といったよく知られた大企業の名前が続きます。

2018年度に就職活動をした学生さんの親世代と言えば、まさにバブル世代の方も多く、今みたいに、インターネットやSNSを駆使し、自己分析やらエントリーシートやらの無い時代。

情報量も就職活動のやり方も、全く違います。

そんな親たちが、「入社して欲しい企業の特徴」として上げたのは、

「経営が安定していること」で、46.2%と圧倒的大多数

2位の「本人の希望や意志に沿っている」28.7%を大きく引き離しています。

いかに今の親たちが子どもへ「安定」を願っているか、数字に表れているのです。

子どもへ何を願うのか、その願いをどのように伝え、どう関わっていくのか…正解はありません。

実際に大学で多くの学生さんと面談する中で、親御さんの影が、ある時は濃くある時はうっすらと見えてくるときがあります。

かく言う我が家も、長男が留学を理由に1年多く大学へ残ったため、まさにこの春は就活シーズンを迎えます。

私がこんな仕事をしていることもあり、どのように関わるかは微妙なところ…

もちろん、私の就活支援スキルや情報は息子にも役立つはずなのですが、何しろそこは「親子」

相談に「自分から」来る学生さんとは違う訳です。

「必要な時は全面協力するから」とは言ってあるものの、長男の就職活動がどうなるか、そして、私はどう関わっていくのか…。

まさに今年の春は「就活生の親」としても、試行錯誤の日が続きそうです。


「外国人労働者受け入れ拡大」は決まったけれど<後編>

今は、留学生が大学を卒業して日本で就職するには、大学の専攻に関連がある職務でないと、就労ビザが認められません。

大卒では、単純労働や肉体労働に就いて、日本で働くことはできないのです。

社会科学系(経済・経営・法学)の学部なら、総合職や営業・通訳などは、ビザが下りる可能性は高いですね。

その上、留学生を採用する企業側でも手続きが必要なので、留学生の採用経験のない企業は二の足を踏むことも多く…。

ところが、留学生本人がその点を理解しておらず、3年生の段階では、「工場で製造の仕事がしたい」とか「飲食店で接客がしたい」とか言うケースも。

日本語会話力がまだまだの学生ほど、情報を理解できない事もあり、そんな感じ。

そこで、かみ砕いて説明。

聞けば、母国に子供がいるとか、実習生で3年働いた上に日本語学校へ通ってから大学へ進学したとか、もう35歳だとか、バックグラウンドも様々。

こんな今の留学生の現状を踏まえ、今回の外国人労働者の受け入れ拡大を考えると、思いは複雑です。

外国の方が、日本で働きたい思いについては、可能性も広がるでしょう。

ただ、日本人は本当にこの方々をどう受け止めているのか。

単なる労働力一人分としか見ていないのでは?

話せば一人一人、母国への思いも、日本語を学ぶ努力も、日本で働くことへの思いも、収入を得たい切実さも、渡航先での心細さも、様々な思いを持った人間です。

昨年、長男がロシアへ留学中、現地の方との様々なやりとりを聞き、優しい対応の話に国へのイメージが変わったこともあれば、厳しい対応の話に心を痛めたこともありました。

この留学生達も様々な思いを抱いて日本に来ているかと思うと、受け入れ体制も整わないまま、話題の中でモノのように扱われている現状に、今後が心配です。