大学の研究室が並ぶ中、共同研究室でグループワークの評価作業をしています。
作業をしていると、近くの部屋から学生が教授の部屋に集まって賑やかに話している声が聞こえてきて、自分の大学生活を思い出しました。
私は大学では社会学科の中にある文化人類学専攻でした。内容を聞かれると、「比較文化です」と簡単に説明していました。
指導教官はブラジルの研究をしている方で、ブラジル在住も長かったのですが、大学のある市の郊外に住まわれていて、年一回ご自宅で食事会を開いて下さいました。
日系ブラジル人の奥様は、フェジョアーダという豆と肉の煮込み料理や、サワークリームを使ったディップを作って、私たち学生をもてなしてくれました。
フェジョアーダをご飯にかけ、カレーライスのようにしていただいたり、サワークリームをドリトスにつけて食べながら、教授を囲み、同じゼミの先輩後輩と夜中までわいわいと語り合いました。
決して優等生ではなかった私にとって、その頃学んだことは遥か記憶のかなたになっています。
でも、その時の賑やかで楽しいラテンの雰囲気は今でも思い出しますし、その後日本にブラジルから多くの方が入国するようになって近所に引っ越してきた時も、とても親近感を持ったのは確かです。
それに、文化人類学で学んだグローバルな視点、文化の多様性を受け入れる素地は、今も私の生き方の基礎になっています。
優劣でなく、「違い」として互いを受け入れ、尊重することの大切さ。
学生と様々な仕事の話をする時も、様々な職業の方のお話を伺う時も、仕事にも人にも優劣がある訳ではなく、ただ違いがあると私は考えています。
そして、その違いを尊重したうえで、素直な気持ちで向き合うことも心がけています。
サークルとアルバイトにかまけていた典型的文系大学生の私でしたが、それでも大学での4年間は今の私に繋がっていると、賑やかな研究室の近くを歩きながら、遥か20数年前を懐かしく思い出しました。