今どき大学生の職業観

リクルートキャリアの「就職みらい研究所」が大学生を対象にした「働きたい組織の特徴」という調査結果があります。

その中のワークスタイルの項目を見てみます。

A、仕事と私生活のバランスを自分でコントロールできる

B、仕事と私生活は区別なく、一体として働ける

このどちらを選ぶかというと、2018年卒(現大学4年生)は、Aが47.7%。

さらに、どちらかといえばA(38.7%)と合わせると、86.4%にもなります。

「残業多いと、自分の時間とれないじゃないですか~。」

と言う訳です。

他にも、事業成長は、チャレンジングより安定志向の人が8割以上、給与額より生活サポートの充実を選んだ人が7割以上と続きます。

実際に学生と話していても、「ワークライフバランス」を取りながら働く考えは、当たり前になっています。

リスクは回避したい…ですし。

その考えは言葉の端々に現れます。

今どき、「若者は改革意識があってチャレンジング」なんていう勝手なイメージは、思い込みです。

職業観だけでなく、先月の選挙で投票した10~20代の4割以上が自民党(保守)を選んだ、なんていうことも、当たり前な時代なのです。

様々な事情で、つい働く環境を整えることが後手後手になっている企業も多いですが、人口も若者も減っていく中で、この若者の志向は無視できません。

募集しても人が集まらない上に、入った人も辞めてしまう繰り返し…といった悪循環になってしまいます。


学び続ける「社会人」の後押しになる給付制度変更

国家資格「キャリアコンサルタント」が、10月から「専門実践教育訓練給付制度」の対象になり、今までと給付率が変更になりました。

今までは、受講にかかった費用の20%が受講後給付されていましたが、この制度を活用すると40%給付されます。

さらに、1年以内に資格に合格すると、追加で20%支給されます。(詳細は個々に異なりますので、ハローワークにお問い合わせください。)

がんばれば合計60%の受講費用が給付されることになり、仕事上、資格取得を迷っている方には、力強い後押しとなる制度変更です。

そういった意味でも注目されているキャリアコンサルタントの資格ですが、国家試験は2団体が実施しています。

特に、実技試験(論述と15分の面談ロールプレイ)は受験する団体によって問題が違うのです。

私は、両団体の資格を取得しており、以前とは異なるもう1つの団体の養成講座にも関わることになりました。

そもそも、国家試験を2団体が実施して、試験内容が違うということに、気持ちは複雑です。

でも、資格取得を目指す方々に向き合っていると、学ぶことへの向上心や対人援助職への思いは同じだと実感します。

団体の方向性の違いもある中、大切なことは何かを私も振り返って考えつつ、携わっていきたいと思います。


「先生」と呼ばれる2つの仕事

世の中には、「先生」と呼ばれる仕事が数多くあります。

最近の長時間労働是正の流れの中で、その中の、「医師」と「教師」の働き方についても検討され、話題になっています。

どちらも「先生」と呼ばれ、患者さんが、そして生徒さんが頼りにする方々です。

お医者さんに対しては、通常勤務に連続して月複数回の宿直勤務をしたり、常に連絡が取れる状況に置かれたりと、診察時間以外の時間も含めた激務の実態把握が行われています。

私も総合病院で医療事務の仕事をしていた経験があり、その際、5つの診察室共通の補助として間近で医師の仕事を見ていました。

午前中の外来診察の後、手術、入院患者の往診そして宿直等々、時間に追われながら激務をこなす現場は本当に大変な状況でした。

更にそんな中、医学的に重要な判断をミスなくこなすことを求められるため、常に緊張感がありました。

勤務時間の是正だけでなく、今後AIを活用して、X線やCT・MRI等の読影をしたり、蓄積した診察情報を医学判断に活かしたりすれば、判断に注力することもできるはずです。

学校の先生に対しても、授業の準備を含む雑務を手伝う職員の配置や、学外の部活動指導員、タイムカードを使った勤務実態の把握など、様々検討されています。

先生にゆとりができれば、より大切な子供たちへの目配りに、時間や気持ちが割けるようになり、「教育」の本質に力が注げます。

「時間をかけること」が大切な時もあるけれど、「時間をかけることがいい事」という考えだけでなく、「効率よく任せたり活用したりして、生活や仕事の本質に時間を回す」考えも大切です。

労働環境に対する世の中の注目が集まっている今こそ、少しずつ前進することを期待しています。


「発達障害」と「就職」(後編)「凸凹さん」と共に

そして今回、発達障害の方の就労支援に携わるNPO法人育て上げネットの古賀和香子さんから、現場での支援の実際を伺い、多くのケースワークにも取り組みました。

発達障害の就労支援や就労トレーニングを行う就労支援サービス(LITALICOやKaien(カイエン)等)の情報も教えていただきました。

古賀さんは、発達障害は能力のばらつきがあり凸凹していることから、発達障害を抱える方を「凸凹(でこぼこ)さん」と呼んでいました。

その「凸」である強みを活かし、「凹」である困っている部分への対処をしていく。

そのための整理を支援しつつ、特性を生かせる仕事を模索していきます。

現実の就労の場では、時代の移り変わりとともに、以前は発達障害の特性に合うことの多かった、コツコツと地道に取り組む作業が、機械に取って代わられ減ってきています。

また、「空気を読むこと=良いこと」という風潮も強く、空気を読めないことで働く場でトラブルになることもあります。

そんな現状も踏まえながら、「一般就労か」「障がい者就労か」という二択ではなく、その人に合わせ、柔軟に考えていく必要があるのです。

また、タイミングや本人の納得も方向性に大きく影響します。

実際に、私も、継続して面談していた学生さんが、障がい者手帳取得の話題を出したのをきっかけに来なくなった、という経験があります。

本人の気持ちと現実とを行き来しつつ、より良い方向を探るために、信頼関係を築きながら可能性を模索し、一緒に考えていく。

そんな姿勢が大切ということ。

そして、就職が決まっても、今後困ったときの対処法や相談できる場を考えていくところまで関われたら…。

社会全体も、凸を伸ばし凹を補うようになれば、発達障害を抱える方だけでなく、あらゆる人が力を発揮できますね。


「発達障害」と「就職」(中編)

まずは発達障害を知るところから…。

「発達障害」は、自閉症・高機能自閉症・アスペルガー症候群を含む「自閉症スぺクトラム障害」、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、さらにそれらが重なる場合、と様々。

そんなことからも、発達障害の方は特性の出方が人によって異なり、個別差も大きいのです。

そして、「個別差があって、一律な対応では対処できない」ことは、発達障害の方が、企業の障がい者雇用対象になりにくい理由の一つにもなっています。

発達障害は

・社会的関係形成が困難

・興味関心が狭く特定のものにこだわる

という特徴があり、これは実際に話を聞いている中で感じることが多い部分でもあります。

ただ、具体的な特徴として考えてみると

「人の気持ちを想像するのが苦手」

「場の空気を読むのが苦手」

とか

「一つのことに集中しがち」

「臨機応変な対応が苦手」

「話を整理して理解するのが苦手」

など

これは多くの人にも当てはまる内容で、「個性」と考えることもある部分。

ただ、この特性や能力の差が大きくて社会生活に支障が出ると、発達障害としての対応が必要になるのです。(もちろん、障害認定は医師がするのですが…)

こう考えると、発達障害は社会の中で、私たちと地続きになっていることをより実感します。


「発達障害」と「就職」(前編)

実際に大学で就職活動の支援をしていると、「発達障害」の知識の必要性を実感します。

既に障がい者手帳を持っている方は稀で、その場合は大学職員が障がい者就労として対応されることが多いのですが、普通に面談したり模擬面接をしたりする中で、「あれ?」と思う場合があります。

そんな時は、日頃のコミュニケーションの様子やアルバイト経験の有無などを聞いてみるのですが、聞くと、就職面での考慮や就職活動への対応の必要性を実感するケースもあるのです。

「発達障害」は私が子供の頃にはなかった言葉です。

「なんか変わってるね」と言われ、よく同じクラスにいた子たちの中に、「発達障害」と呼ばれる人も含まれています。

コミュニケーションの面で自他ともにうまくいかないと実感することも多く、昨今の「コミュニケーション力」を中心に展開している就職活動ではなかなか結果に至らないことになります。

「グローバル」や「多様性」が叫ばれる世の中でありながら、結局、「多様」を排除し避けて通りたい現実に、就職活動で直面することになるのです。

就労となると、発達障害の程度によって、障がい者認定を受けて企業の「障がい者枠」で就職活動を進めるか、一般の就職活動を行うか選択することになります。

でも、障がい者認定は、本人のみならず、親御さんにとってもなかなか踏み込めないケースも多く…。

一般の就職活動に踏み切っても、状況によっては、就職が決まらず本人が苦しんだり、隠して就職したものの仕事に対応できずに早期退社したりと、継続的な支援が必要です。

そのあたりの現状を含め、実際に発達障害者の就労支援に携わる方のお話を伺い学ぶ機会がありました。

その内容を少しまとめていきたいと思います。


雨が止むと、近づく秋の気配

先週、いつの間にか「雨女」になっていた話を書いたぐらい、最近は傘を持参することが多いのです。

今日も、天気予報が雨だったので、「やっぱり…」

ところが、出かける前に小降りになり、移動中に雨はすっかり止みました。

曇り空の中、今日はあと一歩で三重県、といった地域の事業所へお伺いしました。

セルフキャリアドック制度は、全社員が面談対象となるのですが、どのタイミング(節目)の方を今回面談するかは企業ごとに設定します。

入社1年後とか、3年ごとや5年ごとなど。

それに、育児や介護休業の取得前後を追加する企業もあり、様々です。

実際にお話を伺っていくと、それぞれのタイミングによって面談の内容も違ってくることが多いのです。

入社からまだ数年の20代の方は、現状を整理しつつ今後の方向性を一緒に考えることが中心になります。

入社後身についた力を整理する中で、積み重ねてきたことに気づき、徐々に表情に自信が見えるようになる姿は頼もしくもあります。

今日も、入社5年目の方のさわやかな笑顔に見送られ帰途に就くと、雨はすっかり上がり、青空に雲がたくさん浮いていました。

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中には秋特有のうろこ雲も。

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気づけば、もうすっかり、季節は秋になっていたんですね。


どうせなら、移動も楽しみながら行ってみた。

21日から3日連続で、岐阜県関市へ高校の就職ガイダンスにお伺いしました。

商業科と工業科に日程が分かれており、1日目の商業科は女子学生が大多数、2日目と3日目の工業科は、ほぼ男子学生。

私が住んでいる地域から関市へは公共の交通機関では行きにくく、「関市ってここから電車で行けるの?」と言われるくらい。

まぁとにかく、実際行ってみました。

最寄駅から名古屋鉄道に乗るのはいいとして、

そのあとJR高山本線、そして第三セクターの長良川鉄道へ乗り換えます。

高山本線は、駅に着いたら自分でボタンを押して開けるタイプ!

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長良川鉄道は、無人駅が多いので、駅に着くと運転手さんが改札を兼ねて料金を受け取ってくれます。

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ちょっとした小旅行気分。

ただ、関に着いても、駅から会場まで少し距離があるので、片道2時間近くの行程となりました。

実際にお伺いしてみると、自転車のカギをかける習慣がないくらい地域の雰囲気がいい中で育ち、素直な生徒さん達ばかり。

一日を終える頃には顔つきも引き締まり、社会へ出る準備に気持ちが向いたことを実感しました。

また工業科には、2日間を通じて女子は2人。

そんなことはものともせず、建築・住宅の仕事に女性としての観点で関わりたいと意欲を話す姿に、頼もしさを感じつつ会場を後にしました。


「女性活躍」なら「男性活躍」も(後編)

女性ばかりのCAの話題に引き続き、これもまた女性が多い「養護教諭(保健室の先生)」についての話題もありました。

全国に約4万人いる養護教諭・助教諭のうち、男性は65人しかいないとのこと。

確かに、「保健室の先生」のイメージは女性。

大規模校には2名配置できるので、男性の養護教諭は、男性女性一人ずつとして配属されるケースが多いとか。

学校内に一人しか養護教諭がいない時、「男性だと不安だ」と保護者に言われることもあるそうです。

ちなみに、職業全体に占める男性の割合は、看護師は7.3%、保育士は5.4%なのに、養護教諭は0.16%

限りなく珍しい存在です。

養護教諭の役割と言うと、心身の健康だけでなく不登校やいじめ、虐待への対応も含みます。

そういった意味では、思春期の男子学生への対応で、男性の養護教諭のほうが相談しやすいという利点もあるはず。

親ではなく、身近に相談できる同性の存在は心強いです。

半面、自分の過去を振り返って中学校の頃に男の先生に相談するか、というと難しいかな~。

やはり男女1人ずつというのが理想的かも。

世の中に男性も女性もいる以上、職業に極端な男女の偏りがあるのは不自然です。

男女それぞれの良さをお互いに認め合い、その点を生かして仕事に向き合える社会に近づくためにも、このようなニュースが話題になり、みんなで考えてみることが第一歩ですね。


「女性活躍」なら「男性活躍」も(前編)

去年の4月から「女性活躍推進法」が施行され、女性活躍についての話題をよく目にするようになりました。

そんな中、日本の航空会社のCA(キャビンアテンダント)は女性ばかりで「男性がここまでいないのは異常」、というニュースを目にしました。

実際に、ANAはCAとして男性を採用したことはなく、JALも世界に約5500人いるCAのうち日本人男性は10名程度。

両社とも、機内でCAを務める男性は、海外拠点の外国人が中心なのです。

確かに海外の航空会社では男性のCAを目にすることも多く、日本だけの状況かと思い調べると、日本の他にもアジア系の航空会社は女性が中心だとか。

最近台頭している格安航空会社では男性も活躍しているし、航空会社としての考え方が反映しているとも感じます。

雇用形態が、最近まで契約社員中心だったことも影響しているはず。

CAというと、日本ではサービス業務のイメージが強いのですが、そもそもCAは保安要員でもあります。

テロが多いこのご時世、男性の存在は「安心感」というサービスに繋がり、荷物を棚に上げる時も、保安(機内で暴れた客を取り押さえる)のシーンでも、男性が活躍できる場はある訳で…。

最近では、電車の車掌やトラックの運転手にも女性が増えてきています。

性差による得意不得意があっても、それを上回る対応で、その役割にそれぞれの良さを活かしていけるよう、世の中の変化が必要ですね。