自分のサークルをPRしても、自分は分かってもらえない

エントリーシートや履歴書の添削をしていると、サークルやゼミ活動など団体のリーダー格の学生さんによく見られるのが、その団体のPR文になっているパターン。

もちろん素晴らしい活動を収めた団体のリーダーなら優秀であることは明らかです。

だからこそ、その活動で身につけた力をしっかり伝えてほしいのですが、そんな学生さんが就職活動で文章を作るときは注意が必要です。

というのも、つい油断すると、団体のPR文に…。

素晴らしい活動であればあるほど、活動の話に終始してしまい、「私」のことまで話がたどり着きません。

そうなると、その団体の活動の素晴らしさは分かるものの、どこまで読んでもその学生さんが「どんな人」なのかが伝わらないのです。

あくまで就職活動は「私」が「何をどう努力しどのような力があるか」を基に選考が進みます。

「で、あなたはそこで何をしたの?」

に始まる質問を、次々と繰り返して始めて「その人らしさ」が伝わるようでは、先へ続く機会を逃してしまいます。

「就職活動では「私」のことを聞かれている」という意識をしっかり持ち続け、「私」が主語になるように考えを巡らせて伝えることが大切です。

その上で、出来事だけでなく、目に見えない心の中の考えや思いも文章へ入れ込んでまとめていくと、経験したからこそ得た力を先へ繋げていくことができるのです。


具体的に書くって、意外と難しい?

大学生の履歴書やエントリーシートの文章の添削をしていてよくあるのが「具体性がない」文。

読み終わっても、抽象的で読み手に何となくしか伝わらないので注意が必要です。

自分の頭の中にあるイメージから文章を作ってしまうとこうなります。

具体的な文章にするコツは、伝えたい点がよく表れた「ある1日」や「ある出来事」を取り上げて考えることです。

そのとき自分は何をして、何を大切にどう工夫したのか。

大変だったのはどんなところで、そのときどんな思いでの取り組んだのか。

といった風に、具体的な出来事を通じて自分の努力の仕方や大切にしている思い(価値観)を言葉にして、初めて読んだ人に伝わるように書くことが大切なのです。

例えば、ラーメン屋でのアルバイトでがんばった話を書くのなら、

「私の強みであるコミュニケーション力を生かして他のアルバイトと連携し、努力し続けた結果、売上に貢献することができました。」

では、「私」としてどうがんばったかや、なぜがんばったのか、といったその人のよさや大切なことが伝わりません。

「繁忙期を乗り切るにはアルバイト同士の連携が大切と考え、お客様の来店やテーブルの片づけは周囲へ声を掛け、店の回転率を向上させました。」

こうすると、慌ただしい店内でも何とか結果へ繋げようと、自分から声をかけて周囲を動かしている姿が頭の中に浮かびます。

つまり、自分の頭の中にあるイメージは具体的に伝えないと相手とは共有できないし伝わらないのです。

そこで、心の中の思いも含め、具体的に文章にしていきます。

その場の光景が相手の頭に浮かぶようになってこそ、どんな人かも伝わるのです。


「バイトリーダー」って書けば楽勝!?

一時期、新卒採用をする企業の間で、「エントリーシートを読むと世の中バイトリーダーだらけ」と言われていました。

これは学生さん達が、「役割」や「ポジション」があると企業に選ばれる、と考えていたことから生まれた現象でした。

もちろん任された役職があれば、成果として伝えていくことは大切です。

でもその話を書くときには、内容こそ、よく考えていく必要があります。

「バイトリーダー」といってもバイトをしている業種や店舗の状況によって目指すことは違いますし、その人によって問題への取り組み方も違います。

人数の多いアルバイトを意見調整しながらまとめ上げた「リーダー」もいれば、信頼を積み重ねて常連客の対応を任されるまでになった「リーダー」もいるのです。

その点を意識したうえで、その話で自分の「何」を伝えたいかを考えながら書いていくのです。

つまり、「リーダー」のポジションが評価されるのではなく、リーダーを任されての頑張りや、そこで身につけた力が評価されるのです。

そう考えていくと、「リーダー」にこだわらずとも、エピソードを通じて自分の良さを伝えることはできます。

「じっくりと粘り強く」がんばるタイプなのか、「瞬発力を活かして一気に」がんばるタイプなのか、「周りを巻き込んで一緒に」がんばるタイプなのか…。

人それぞれ違うことを前提に、自分はどのようなタイプなのかを考えながら、仕事にも生かせそうな「自分らしい良さ」が伝わるように、具体的なエピソードを基にまとめていきます

実際に履歴書に書く文章量は少ないのですが、初めて読む人の頭に「その人らしい」光景が浮かび、企業の方に「ぜひうちでがんばってほしい」と思ってもらえる文章を目指して試行錯誤する努力が、先へと繋がっていくのです。


1月も残りわずか。大学生の就活は動き出してますよ。

1月もそろそろ終わりに近づき、大学3年生は3月の採用情報の公開(説明会・エントリー開始)に向け、できる限りの準備をしている時期だと思います。

この時期にどれだけ準備するかで、就活の結果、さらには就活の納得性が変わってきます。

3月に入り、企業説明会などで企業の情報が流れ込み、選考も始まる…となったら、自分を落ち着いて振り返ったり(自己分析)、文章を練り直したり(履歴書作成)できなくなります。

まさに、ダムの水が一気に放出されるような感じですね。

その流れに流されないためにも、少しでも多く準備をしていきます。

でも、「どうしていいか分からないよ~(T_T)」という人は、まず大学内の行事をチェック。

大学内で、業界セミナーや研究会という名の実質「企業説明会」や、選考へ向けての講座・イベントが行われていますので、まずはそれに積極的に参加してみます。

大学内での企業説明会は、「この大学の学生」を対象に説明会や採用活動をしてくれるのですから、様々な大学が集う合同説明会より、採用へ至る可能性ははるかに大きく、重要なのです。

他にも、大学内のキャリアセンターでは職員の方が相談に乗ってくれます。

今やキャリアコンサルタントが常駐している大学も多いので、とにかく駆け込んでみましょう。

そうやって動くことで、「何したらいい?」といった漠然とした不安は具体的になっていきます。

周囲の動きも見えてくるし、情報交換もできます。

みんな不安な中がんばっているんだから、励まし合って進めると心強いですよね。


伝わりやすく話す~面接に練習が必要な訳

大学3年生の就活体験セミナーの模擬面接では、接している印象はいいのに面接の回答がなかなか的を得ない学生さんもいます。

一生懸命話すがゆえに話が長くなり、緊張も伴って、何を言いたかったのかが自分にも面接官にもよく分からなくなる…という悪循環でした。

伝わりやすく面接で質問に答えるには、PREP法、つまり、P(結論Point)・R(理由Reason)・E(具体例Example)・P(結論Point)の順番で話していきます。

ところが、日本語は話の最後の方で結論を話す言語なので厄介です。気を抜いて話していると、ついつい結論が最後になってしまうのです。

面接の質問に答えているのに結論を言わない訳にはいかず、熱を入れて説明を話せば話すほど結論は先延ばしになり、話も長くなります。

そして、「結局??」

ではどうやって分かりやすく答えるか。

まずは「質問をよく聞くこと」が大前提です。

あくまで質問に対する回答なので、的を外さず質問をしっかり理解するために、何を聞かれているのか語尾まできっちり聞き取ります。

そしてその後、まずその質問の答えを頭の中で探します。

見つかったらそれを結論(P)としてまず最初に伝え、次にその理由(R)や具体例(E)を話します。そして最後にもう一度結論(P)を確認として伝えて締めくくります。

これを1分程度にまとめると伝わりやすいですね。

内容が足りないと相手が感じたら、更に質問が来るのでその質問に答える、その繰り返しです。

大切なのは、自分が伝えたいことを全て発言することではなく、質問に対する答えが相手に伝わることなのです。そのためには、相手が理解できるように話す意識は必要です。

「で、結局どういうこと?」なんて言われている人でも、日々心がけ、質疑のキャッチボールを繰り返すうちに、見違えるように簡潔に自分の話を伝えられるようになります。

もともとの個性に追加して、伝わりやすく話すという「他者目線に立ってどれだけ準備してきたか」が、結果に繋がっていくのです。


グループディスカッションという選考

大学の新卒就活では、疑似会議で人との関わり方を評価しようと、グループディスカッションを選考ステップにおいている企業が結構あります。

面接のように、企業の方と対面し続ける選考と違って、同世代の学生と話し合いに集中していると、「素」が出がちなので要注意です。

あくまで仕事の場を意識した選考ですので、適度な緊張感で、気持ちを引き締めて臨みます。

ぐちゃぐちゃなカバンの中が丸見えなのは見苦しいのでカバンの口は閉じるとか、机の上にど~んと置いてあるぬいぐるみみたいなペンケースは変えていくとか、ビジネスを意識します。

グループディスカッションの選考を受けた学生さんとよく話題に出るのが、「今日はメンバーに恵まれなかったんです(泣)」というグチ。

もちろん、どうにも収拾がつかなくなるような発言を吹っ掛ける人や、うながしてもうながしても発言がなくお通夜のようなメンバーたちに、心折れることもあると思います。

でも、本当に選考している企業にとって、最後までそのメンバーでの最善を尽くそうとする姿は必ず目に留まります。

もし、その精一杯な姿を評価してもらえない企業であれば、実際に働きだしても、状況にめげず努力することを評価してもらえない可能性もあるわけです。

その企業とはご縁がなかったと割り切って先へ進みましょう。

努力が全て結果に繋がらないのも就活ですが、正解を探すのではなく、自分のがんばる場を探す活動として、しっかり目を見開いて活動し続けることが大切です。


証明写真だって、立派な就活ツールです。

さぁ、今日から12月。

大学3年生は、できる就活準備は年内に。

大学指定の履歴書も買って、印鑑もまっすぐ押せた。がんばって準備した文章を書いたところで…写真撮ってない!

とならないように、履歴書に貼る証明写真も立派な就活ツールなので、忘れず準備しておきましょう。

提出直前に慌てて撮ったのでは、納得できないもので提出するハメに…。

スーツを着て、髪形を整えて写真を撮ることで、気持ちも就活モードになります。

大学によって、学内に写真屋さんが常設されていたり、シーズンになると来てくれたり、学内イベントで撮影してくれる場があったり、と様々ですが、とにかく、予めの準備は欠かせません。

学外でも、就活写真専門の写真館もありますし、金額も、数千円から、ヘアメイク付きで数万円なんてところもあります。

お金をかけさえすればいい訳でもないですし(就活は他にもお金がかかります)、「写真のせいで落ちた」と思わない程度に選ぶといいですね。

表情良く撮れると、気合も入ります!

ただし、容姿も選考基準であろうアナウンサーやCA(客室乗務員)などを志望する方は、実績のある写真スタジオにお願いするのも一つの手ですね。

最近は応募する企業の数も多いので、撮影した写真のデータをもらっておいて、近くの写真屋さんでも焼き増しできるようにしておきます。

今どきは、PC入力したエントリーシートに、写真をデータとして張り付けて送信することも多いので、そんな時もデータがあると安心です。

ただ、くれぐれも、写真屋さんの技術で修正しすぎて別人にならないように…。

無事通過すれば、面接で実際に会いますから。

あまりにも違うと、面接後、違った意味で話題に上ってしまいますのでご注意を!


では、男子学生も、社会人目線で見てみます。

女子学生と社会人目線のギャップに触れましたが、ではでは男子学生はどうでしょう。

着慣れないスーツ姿を確認してみると…

ワイシャツは、下着を着けなかったり文字入りTシャツを着たりすると透けて見えるので、無地の白い下着を着ます。

そして足元は、白い靴下・スニーカーソックスではなく、黒か紺色のソックスをはきます。

椅子に座ると意外に足首は見えるので、スーツの足元の違和感は目立ちます。

髪形も、自分が思っているより短めにするのがおススメです。

業界によってスタンダードがあるので、迷ったらその企業・業界のWebサイトの社員を参考にしてみるといいかもしれません。

でも、短いからと言って、坊主頭(スキンヘッドね)は変に話題になるのでよくないかな~。

あと、ネクタイを自分で結べるように練習しておくのも準備の一つですね。

ネクタイの端が、ベルトのバックルの上にかかるくらいの長さに、さっと結べるといいですね。

最近はスマホがあるので腕時計を持っていない学生さんも多いですが、スマホで時間を確認する姿は誤解を招きます。「話してるのにLINEを確認した?」「早く帰りたいのか?」

社員さんより高級な時計は逆に目立ちますので、カジュアルすぎないシンプルなものを。

あくまで社会人から見てどうなのか?の目線を忘れずに。


その他にもある、就活をテーマにした小説たち

就活をテーマにした小説を、他にも2作品。

★羽田圭介さんの「ワタクシハ」

羽田さんは、お笑い芸人の又吉さんと同時に芥川賞を受賞したことで話題になりましたよね。

主人公が「売れないギタリスト」ということで、今どきの就活色はあまり強くない小説です。

ただ、「就職活動は、完全に身内空間の外でおこなわれている」「常に他人の目にさらされていないと、自分のことはわからない」といった指摘は、就活の本質を突いていると思います。

よく知っている人との関わりに慣れている学生さん達にとって、いかに初対面の社会人に自分を知ってもらうか、という目線は必須です。

それに、就活で重要視される自己分析も、ずっと自宅にこもって一人でやり続けていたら、自分が完璧にわかるわけではなく…。

自分のことを本当に知るためには、周囲に自分のことを聞いたり(「他己分析」という言葉も定着しました)、企業の方などと接したりすることが必要で、そんな中で徐々に理解は深まるものなのです。

「動くこと」大切です。

★喜多川泰さんの「手紙屋」

就活中の主人公と「手紙屋」との10通の手紙のやり取りを通して、「働く」ことを考えさせてくれます。

就活への即効性を期待して読む、というよりは、就活の先にある「働くこと」を考える機会をくれる小説です。

まだ働いていないうちから自分の適性の枠にこだわり過ぎずに、自分自身でも想像もできない伸びしろを、より伸ばすためにはどこで努力を積み重ねるか、という目線で働く場所を選ぶことも大切ですね。


女子学生目線と社会人目線の違い

茶髪は黒髪に染め直して、いよいよ就活モード。

となっても、意外なところで「ジェネレーションギャップ」を感じることがあります。

女子学生の場合だと、就活スーツの白シャツの下に着るインナーの色。

「え~!黒はダメなんですか?」

学生さんは、下着らしく見ないようにあえての黒インナー。

でも逆に、白シャツの下のインナーは、透けて見えないための、白かベージュです。

他にも、前髪を止める額の真ん中のピン。

額を出した方が明るい印象なので、前髪を斜めに分けるのはおススメです。

でも、前髪を斜めに流そうにも短くて…といった時に止めるピンは見えないように止めてください。

普段は額の真ん中で止めるのもカワイイのですが、就活では…。

今短い人も伸ばして行けば届くようになるので、それまでは、スプレーを使って固めたり、ピンの位置を工夫したりしてしのいでいきます。

就活となると、なんだかんだ、学生さんにとっての父親世代と相対する機会が多くなります。

そこでは、おしゃれとしてではなく、ジェネレーションギャップも差し引いた「身だしなみ」が求められるのです。

企業や、目上の初対面の社会人目線を想像することも、就活の一部なのですね。